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[大学選手権]インパクト十分の名門撃破!攻撃型の初出場チーム、東海学園大が8強進出!

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[12.18 大学選手権2回戦 筑波大0-1東海学園大 夢の島]

 第62回全日本大学サッカー選手権2回戦が18日に行われ、34回目の出場となる名門・筑波大(関東5)と初出場・東海学園大(東海1)との一戦は、東海学園大が全日本大学選抜MF志知孝明(2年=岐阜U-18)の決勝ゴールによって1-0で勝利。東海学園大は20日の準々決勝で大阪体育大(関西1)と戦う。

 初出場の東海王者が名門撃破。それも引いて守り勝ったのではなく、撃ち合いを演じての1-0勝利だった。元U-17日本代表のCB杉野健斗主将(4年=東海学園高)が「ボールを下げないでつなぐこと。意識としては凄くドルトムントを意識していて、縦に速く、そして距離間を大事にしている。相手に合わせるのではなくて自分たちの距離間、縦に入るパスコースをみんなでつくって、横パスではなく縦へ入って行こうと。それが凄く出たと思う」と説明する東海学園大のスタイル。ボールを奪うと4、5人が一気に前線へ駆け上がり、勢いを持って局面を打開する。ただダイナミックさだけに頼っているのではなく、技術も兼ね備えているのが彼らの魅力だ。

 大型ドリブラーの志知をはじめ、相手の注目MF谷口彰悟(4年=大津高、川崎フロンターレ内定)をスピードで振り切るシーンもあったMF中西健人(3年=浜松開誠館高)、DFを翻弄するような技術を持つレフティーMF筑後潤平(4年=高稜高)、そして畠中佑樹(2年=中央学院高)と神谷駿文(4年=東海学園高)もテクニカルなボランチコンビだった。彼らが仕掛けて、仕掛けてゴールを奪い取る。東海リーグ1部18試合を13勝5分、60得点の攻撃力は伊達ではなかった。

 2005年の強化スタート当初からチームを指導する安原成泰監督は「他のところが1、2回のところをウチは3、4回仕掛ける。他ができないテンポとペースにこだわっています。ウチは(仕掛けた際の)ミスが前提ですから取られても慌てない。仕掛けるチームなんで。回すなら自陣ではなくて前でとやっている」。その攻撃心と前へ、前へと仕掛けを踏み出していく力強いサッカーが筑波大を苦しめた。

 筑波大は鹿島アントラーズ内定の全日本大学選抜FW赤崎秀平(4年=佐賀東高)ら主力数人が怪我のために不在。だが、こちらも攻撃がウリの筑波大は「攻め合いは望むところ」とばかりに主将の谷口とジュビロ磐田内定MF上村岬(4年=磐田ユース)、DF車屋紳太郎(3年=大津高)の全日本大学選抜トリオを中心とした自陣からのポゼッションで東海学園大を振り回す。

 自陣で相手にハメられかけても、谷口や上村が1、2タッチのパスワークで打開。そして車屋が相手の逆を突きながら駆け上がってくるドリブルも効果的で、遅攻から相手DFを切り崩していく。普段は相手以上にボールを支配して攻める試合が多いという東海学園大の安原監督も「こんなにボールを握られたのは初めて」と舌を巻いていたほど。取られた瞬間に取り返そうと人数をかける東海学園大DFのマークを外して攻める筑波大は、26分に鮮やかな崩しからPAの車屋が左足シュートを放つなどレベルの高いポゼッションサッカーを演じていた。

 だが先制したのは東海学園大だった。後半3分、東海学園大は中盤でボールを奪うと、神谷が相手のギャップを突く絶妙なパス。バイタルエリアで前を向いた筑後が縦へのラストパスを入れると、志知が豪快な左足シュートをゴール左へ突き刺した。歓喜に沸く赤いユニフォーム。東海学園大は8分にも志知のパンチのある左足シュートがゴールを捉え、FW奥村駿(3年=名古屋U18)のミドル弾、そして個人技からゴール正面でDFを外した筑後の決定的なシュートなど勢いに乗って2点目を強奪しようとした。

 一方の筑波大は12分に車屋がドリブルで一気に持ち上がると、右サイドのMF葺本啓太(4年=浦和ユース)の落としをMF片岡爽(3年=神戸U-18)が決定的な右足シュート。23分には谷口の絶妙なヒールパスを起点に、上村が狙いすました右足シュートを放つ。だがともに枠のわずかに左外へ外れて同点に追い付くことができない。杉野が「(筑波大が)横へ横へつないでくれたのでスライドのところを特に意識した」という東海学園大は、相手にボールを持たれてサイドを破られても杉野やCB山内晴貴(4年=アミーゴス鹿児島)が中央を譲らない。それでもボールを保持して攻めていた筑波大だが、35分に谷口がPAから放った右足シュートがDFにブロックされると、43分に葺本が放った左足コントロールショットもわずかにゴールを外れて最後まで追いつくことが出来なかった。

 ポゼッションとサイド攻撃でゴールをこじ開けようとしてきた筑波大の攻撃に苦しんだ。それでも攻撃型の新鋭・東海学園がインパクトある戦いぶりで8強入り。東海学園大は普段から多く行うというJクラブとの練習試合でボールを回せる試合もあり、12月1日の磐田との練習試合では敗れたものの、2点を奪って自信を増して今大会に臨んできた。今大会の目標は初出場でのファイナル進出。杉野は「東海の名を知ってもらうように練習してきた。きょうは少し出せたと思うので次はもっと出せるようにしたい。決勝へみんなで行こうと言っている」。筑波を破った実力はホンモノ。リスク覚悟の人数をかけた攻撃サッカーで今大会の台風の目となる。

(取材・文 吉田太郎)
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