beacon

[MOM277]明治大FW野間涼太(4年)_「登録外」からはい上がったストライカーが千金弾

このエントリーをはてなブックマークに追加

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.18 全日本大学選手権2回戦 明治大3-0宮崎産業経営大 BMWス]

 逆境からはい上がってきたストライカーがチームを勝利に導いた。0-0で折り返した後半2分、明治大は右サイドを突破したMF矢田旭(4年=名古屋U18)の折り返しにゴール前でFW和泉竜司(2年=市立船橋高)がつぶれ、こぼれ球をFW野間涼太(4年=青森山田高)が右足で蹴り込んだ。

 泥臭いゴールに「FWらしい点が取れたと思う」と笑った野間は「(クロスの)コースが変わってこぼれてきたので、突っ込んでやろうと思った」と気持ちで押し込んだ。試合の流れを大きく引き寄せる貴重な先制点。拮抗した展開が続いた前半とは打って変わり、この1点で後半は余裕を持ってゲームを進めることができた。

 後半17分に途中交代となった野間をベンチ前の神川明彦監督は手を叩き、ガッツポーズで出迎えた。「彼のこの1か月の頑張りが結果になって表れたことがうれしかった」。そのときの心境を聞かれた指揮官は、そう答えた。今季の関東大学リーグでも、今夏の総理大臣杯でも11番だった野間の背番号は今大会、31番。調子を落とし、リーグ後半戦もほとんど出場機会のなかったFWは当初、インカレの登録メンバーからも外れていたのだという。

「31番という背番号を見て分かるとおり、一度は登録から外れていた。調子を落としていたが、この1か月で粘って、先発で使おうと思うところまで戻ってきた」。そう明かした神川監督が野間の先発起用を決断したのは、今月12日に行われた中央大とのインカレ前最後の練習試合だった。「残り30分から途中出場させて、1点取った。調子が上がってきたと判断し、先発起用を決めた」。そんな監督の期待に応える一発だった。

「リーグ戦の最後のころからセカンドチームにも落としてもらって、いろいろと考える期間になった。この1か月で、プレーの面というより、考え方が変わったし、サッカー観も変わった。とにかくサッカーを楽しもうと。結果を出せなかった自分がいたけど、結果が付いてきていたときはいつも自分がサッカーを楽しんでいた」

 原点に立ち返った野間は精神的にもひと回りたくましくなり、大学生活最後の大会でピッチに戻ってきた。その初戦で決勝点。「このゴールは自分にとっても大きい。公式戦であまり点が取れていないというのは自分でも分かっていた。きっかけになるし、気持ちも楽になる」。日本一を狙うインカレ。「大学最後の大会。自分の集大成を出せれば」。4年間の思いをピッチにぶつけるだけの準備は整っている。

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク

第62回全日本大学選手権特集ページ

TOP