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フットサル日本代表FP渡邉が語るボレーシュートの秘訣

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 フットサル日本代表は千葉合宿の最終日に、ゲーム形式のトレーニングを行った。このゲーム形式の練習で、最初にゴールを決めたのが、FP渡邉知晃(名古屋オーシャンズ)だった。CKを獲得するとFP皆本晃(府中アスレティックFC)からのループパスを右足のボレーで捉え、ゴールネットに突き刺した。

 渡邉のボレーシュートの技術は、フットサル日本代表の中でも際立っている。今回は、渡邉に、なぜボレーシュートを決められるのかを聞いた。「これ、記事になったら、他のチームに研究されちゃいますよ」と渡邉は苦笑したが、「フットサルをプレーしている人の参考になれば」と、了解してくれた。

 ボレーシュート成功のカギは、打つ際にどれだけマークを外せているかなのだと渡邉は言う。フットサルには『4秒ルール』というものがある。セットプレーを蹴る際には、4秒以内にリスタートしなければいけないというものだ。そのため、一般のプレーヤーの中には慌ててリスタートをしてしまう選手も多い。しかし、ミゲル・ロドリゴ監督は「4秒を、じっくり使って(パスコースを)選択しろ」と、キッカーに伝える。ピッチの中を見ながら、どこにゴールへつながるパスコースがあるかを探せというのだ。

「ボレーに関しては自論がある」という渡邉は、この4秒間がマークを外す絶好のタイミングなのだと力説する。

「キッカーが構えた瞬間に動き出すのが一番フリーで打てると思います。DFも不意打ちをくらって対応が遅れますし。ブロックが入ってからだと、ブロックをかいくぐられるか、受け渡しをされて対応されてしまう。だから、キッカーがボールをセットして、顔を上げた瞬間に動き出して、そのタイミングで浮き球を蹴ってもらう感じですね。ボールの軌道を見ながらポジションに入ります」

 CKからボレーシュートを打つ場合、必然的にキッカーから離れた位置でボールを受けることになる。相手選手はボールとフィニッシャーを同一視野に捉えられないため、マークが外れる瞬間ができやすい。「DFは『せーの、はい!』ってタイミングでボレーのパスを出しても対応は簡単です。どこに出してくるんだろうって考えているときに不意に動き出すのがベストですね」。

 今シーズン、Fリーグでもボレーシュートでゴールを量産している渡邉だが、ミゲル監督に良いアピールになったのではないかと聞くと、「どうですかね」と首を傾げた。

「練習後にミゲルと小森コーチと晃とセットプレーについて話をしたんですが、ミゲルは『セットプレーのゴールは、ほぼキッカーの精度で決まるし、キッカーのおかげだ』と言っていました。『キッカーからのプレゼントだ』と。いかに『あとは決めるだけ』っていうパスを出せるか。だからミゲルは、キッカーを必ず指名しますからね。それだけセットプレーにおけるキッカーは重要なんだと思います。僕もそう思いますし、ミゲルも『(名古屋の)ペドロ・コスタはうますぎる』って言っていました。だから、今日のゴールも『キッカーのゴール』くらいなことを、言っていたと思います(笑)」

 当然、パスが来なければ、シュートは打てない。「キッカーは重要」という指揮官の言葉はもっともだが、同時に浮き球をゴールマウスに飛ばすのも技術が必要だ。渡邉のシュートが枠を捉えられる理由は、何なのか。

「大事なのはボールを最後までよく見ること。それと落下地点を読むこと。そして体の状態を反らないようにすることですね。体を反らすと、浮いてしまうので。インパクトはだいたい7割くらいの力ですね。10割だとふかすことが多いので。蹴るのはボールの中心か、中心よりやや上を蹴ることを意識しています。中心を蹴ることで一番きれいにボールを飛ばせますし、しっかりミートした時に一番スピードが出ますからね」

 渡邉はサッカーをやっていた高校時代、当時の点取り屋だった選手と2人で監督からみっちり指導を受け、反復練習をした結果、ボレーシュートが得意になったという。フットサルをプレーしている人は、上記のポイントを意識してみては? 目指せ、ボレーマスター!!

(取材・文 河合拓)

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