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フットサル日本代表、千葉合宿3日目 練習後の選手コメント

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 フットサル日本代表は18日に、2013年最後の活動である千葉合宿を終えた。日本代表の世代交代を進めるミゲル・ロドリゴ監督は、この合宿に若手を多く招集し、チームのベースとなるやり方を示すとともに、自ら選手たちのパフォーマンスをチェックした。練習後、代表歴の浅い選手たちは次の機会にも招集されるようにと、気持ちを新たにしていた。

以下、練習後の選手コメント

●GK宮竹晴紀(シュライカー大阪)
―3日間を終えての感想は?
「非常に楽しかったですね。夢の国にいるみたいでした(笑)」
―良い表現ですね(笑)
「いや、僕は(大阪の)ドゥダ以外の監督の下でプレーしたことがなかったので、すごく新鮮で、GKとしても、ちょっと違う視点で見ることができました。FPのレベルも高いですし、こういうフットサルがあるんだっていう勉強になりました」
―集まる選手によって、こんなに練習の質が変わるんだなと、見ていても感じました。
「そうですよね。これが代表かと。ここにまだ(森岡)薫さんとかも入ってくるわけですから、何としても残りたいですね」
―指導されて、もっとも印象に残っていることは?
「当たり前のことなんですが、『まず前』っていうことですね。それが最近はできていなかったので。すごくクラブにもよると思うのですが、『まず前』っていうのはやっぱり基本だと思うので。それを再認識できたのは印象に残っています」
―ゴールクリアランスから、しっかり4秒を使うというのもクラブでも使えることでは?
「そうですね。そこでしっかり(味方にパスを)付けられる技術と、合わせる相手も必要なので、しっかりコミュニケーションをとってやっていきたいと思います」

●FP前純内マティアス・エルナン(名古屋オーシャンズ)
―3日の合宿の感想は?
「スペイン遠征以来の合宿ですが、スペイン遠征に行ったときよりは自分もFリーグで試合に出ていますし、コンディションも良かったので。まだ一緒にやったことのない選手も多くいましたが、自分らしいプレーができたかなと思います。これを続けられるように、これからも頑張ります」
―昨日は少し戸惑っている感じもしたが、今日は伸びのびやっていましたね?
「まだ、代表に慣れていない部分もあって…。でも、ちょっと自分の持っているものを今日は監督に見せられたんじゃないかなと思います。しっかりパスもつなげたし、守備もできたので、チームに戻って明日からもしっかりやろうと思います」
―チームでも活かせることが、今回の合宿では多かったのでは?
「チームの監督も、ずっとスペインで監督をやっていたので、ちょっとプレースタイルが似ているところもあるので。代表でやってきたことをチームでも活かしたいと思います」
―また代表にという想いも強くなったのでは?
「そうですね。明日から、またチームで頑張って、リーグで活躍すれば、こういうチャンスも増えてくると思うので。名古屋は外国人選手も多くいて、試合に出るのも大変ですが、今は少しずつ試合に出られるようになっていますし、スタメンで出ている試合もあるので、もっともっとアピールしていきたいと思います」

●FP小曽戸允哉(バサジィ大分)
―今回の合宿で唯一のW杯メンバーでした。まず選手リストを見たときの感想を聞かせてください。
「いや、W杯に行ったメンバーが自分ひとりだということは、こっちに来て気付いたんで。まぁ、若い選手が多いなとは思いましたし、こんなこと言っていいのかあれなんですけど…『なんでオレも入っているんだろうな』っていう感じには、ちょっとなりました」
―そうですよね。僕もそう思いました。
「若手主体だったら、オレが入るのかなと思いましたね。でも、選ばれることはもちろん嬉しいことですし、まぁ一生懸命頑張ろうかなと思いましたけど」
―若いチームをプレーで違いを見せたり、引っ張っていた印象が残っていますが?
「見せなければいけないというよりも、自分もそんなに経験がある方ではないので。自分の中では(北原)亘さんとかに比べたら、足りない部分が多いと思うので、若手に負けないように一生懸命やっていただけです。特に模範になるようにっていう意識はなかったですね」
―逆に今回のメンバーに選ばれたことで、危機感が出た部分は?
「いや、危機感ではないですけど、これから先、自分たちの年代は代表から遠ざかっていくことが考えられるので。少しでも長くこの場所にいられるように、頑張りたいなと思います」
―雰囲気も良く、監督の要望に応えるのも早い集団でしたね?
「やっぱり能力の高い選手が多いですし、言われたことを出せる能力を持っているので。各チームの事情や、そういう(ミゲル監督のような)ことを言わない監督もいると思うので。そういう新しいことを言われたことで、すごく良い刺激になっていると思いますし、これから成長するうえで、こういう機会があることはすごくうらやましいなと思います」
―マリオ館山監督に長く指導されていましたが、ミゲル監督の指導はより細かいのでは?
「そうですね。ミゲルは細かいですし、DFに関しては、まったくやることがマリオさんとは違うので。でも、ミゲルになって5年くらい呼ばれてずっとやらせてもらっているので、やり方も分かりますし。でも、こうやって若い選手を教えながらやっていると、自分もまたそこをさらに意識してプレーしようと思いますし、本当に良い機会だったと思います」
―今回、ミゲル監督が教えていたことは、一人のフットサル選手として知っておくとプラスになるということが多かった気がします。
「そうですね。そういうところが、チームのDFの根本とかになっていくと思うので。プレス一つにしても、足のどっちから切っていくのかとか、すごく良いかなと思います」
―今季の代表活動は終わります。来季に向けて?
「本当にまずはメンバーに勝ち残ることが第一です」
―特にアラは増えましたからね。
「そうですね。若い選手で活きが良い選手がいっぱいいるので。そこに負けないように、自分も歳を見せないように(笑)、やっていきたいなと思うと同時に、アジア選手権連覇っていうのは、自分たちの最大の目標だと思うので。そこに向けてまずはチームに戻って練習からやっていきたいなと思います」
―今回の合宿後、試合があればキャプテンマーク、巻いていたんでしょうね(笑)?
「いやいやいや(笑)。まぁ、今日だったら滝田(学)がいなくなったんで、あったかもしれませんね(笑)」

●FP北嶋佑一(バサジィ大分)
―ベトナム遠征に続く代表活動でしたが、3日間を終えて?
「ベトナムにも行きましたが、練習がなかったので…。めちゃくちゃもう…楽しいですね(笑)。別に緊張することもなく、1日目はちょっと遊びだったのですが、自分も硬くなってしまって。ちょっと硬かったんですけど、昨日、今日はもう全然、大丈夫だったので」
―ミゲル監督からも、結構細かく指導されていましたね。
「はい。それがすごくありがたいんです。普通に『分かっていない』ということなんでしょうけど、すごく細かく教えてくれるのはありがたいです」
―印象に残っているのは?
「DFの事ですかね。DFの本当の基礎の所です。相手の切り方、追い込み方。そこが一番、今回収穫があったかなと」
―コースの切り方、4秒の使い方など、非常に細かかったですね。
「そうです。ターンを一つとっても。最後に言われたのは、『もっと前を見ろ』と。ボールの運び方も、『もっと前を見たら、先に運べるから』って。そういう細かいところまで言われていなかったから、もう一回見つめ直すことができて本当によかったです。夢のような時間でしたよ、本当に」
―宮竹選手も『夢の国みたい』って言っていました。
「本当に、また絶対に来たいっていう気持ちが強くなりました。楽しいですし、いつも以上に疲れるんですよ。頭も、体も。本当に集中を研ぎ澄ますことができるんで、こういうレベルの高い選手たちとやると。自分もそれに合わせないと、結局、置いて行かれてしまうので。だから、この2時間、1時間半くらいの時間で、いつもの倍以上に感じるし、考えることも多いし、疲れちゃうんです」
―この感覚を持って帰ることができるのも、大きな収穫では?
「そうですね。そこは自分の意識次第なので。これをきっかけに、チームの人たちにも還元できればいいですし。自分も継続していければ、またここに帰ってくることができると思います」
―クラブに戻ってプレーするのも、楽しみなのでは?
「楽しみですね。ベトナムから帰ったときも、ちょっと余裕を持てているなというのは自分自身でも感じました。そのあとのFリーグでも違う感覚でできたので」
―今度は更に、『分かった』ということが多かったですからね。
「だから今回は、もっと良くなっていることを、自分自身も期待しています」
―来年に向けては?
「とりあえず今週末の浦安戦に勝って、良い年越しを迎えることですね。年内最後の試合ですし、すぐに墨田でのセントラル開催もあるので。代表については、またスペイン遠征のメンバーに選ばれて、また長い時間こうやって試合や練習ができればなと思います」

●FP皆本晃(府中アスレティックFC)
―3日間の合宿を振り返って?
「今回、新しい選手も多くて、確認することが多かったです。かなり細かく確認をしましたが、ここまで細かくやったのはだいぶ前の事だったので良い機会になりました」
―個人的に思い出せてよかったということはあったか?
「特にありませんね。方向転換をするとか、そういうのは前から言われていたので」
―方向転換は、ボールを持ったときのですよね?
「そうです。最終ラインとかでボールを運んだときに、同じ方向じゃなく、違う方向にパスを出すというのは、ずっと前から言われていたので」
―今日の練習ではドリブルをしている仁部屋選手と重なって、注意される場面もありました。
「あれは『あんなにキープしてどうするんだ』っていうのが、個人的にはあったので、確認しました。ほとんど、左サイドから右サイドまでドリブルをして、その間にDFを引っ張って、そこでパスを出してもらったら、リターンを出すとか、そういうことができたと思うので。1回、相手を外して止まったんですが、そこでも出なかったから、そこからもう1回引っ張るのかと確認したら、『ドリブルが得意な選手が持っていたら、そうする』ということだったので。そう言うなら、という感じですね」
―戦術の復習と同時に、互いの特徴を把握することも今回のテーマだったと思います。その点では、今日のゲーム形式の練習で渡邉選手と息の合ったプレーを見せました。
「DFの形を見て、判断しました。トモは、転がしたボールをシュートするのも、ボレーシュートもうまい。トモがあそこに入ったときは、内側にボールを出すというサインを送っていても、瞬時に切り替えられます。これまでもずっと一緒にやってきて確認していたので、(DFを見て渡邉が)動く可能性もあるなと思って、うまくいました」
―選手によっては3日間でパフォーマンスがバラバラでしたが、皆本選手は終始安定していました。
「年齢も重ねていますからね。僕も昔はパフォーマンスにムラがありましたし、今も多少はありますけれど、そういうメンタルのコントロールとかはかなりできるようになりました」
―ポジションについてなのですが、皆本選手は本来アラなのでは?
「一番やりたいのは、アラ-フィクソなんですよね。ただ……そのポジションが今の代表にはないので。フィクソ1枚、ドリブラーのアラ2枚、それにピヴォという形なので。ドリブラーにはタレントもいますし、ターゲットになる選手も多い。だから、僕はフィクソで、パスで勝負をしようと思っています。ミゲルからも『おまえはフィクソだ』と言われています」
―では、代表に生き残るには守備力の向上が課題になりそうですね。
「そうですね。体が小さいからやられそうだと思われがちなんですが、自信はあるんですよ。スペインでやっていましたし、そこで強い阿選手ともやってきました。だから、見た目は小さくて不安かもしれないので、信頼を得ないといけませんが」
―フィジカルの強い相手は、どう守る?
「たとえばブラジル代表のベットンとかだったら、バーンと当たりに行っても絶対に勝てません。日本だと、まだフィクソはピヴォにボールが入ったら、バーンと当たりに行くのですが、スペインでは『強く行くな』と言われるんです。それはピヴォに反転されてしまうから。フィクソがガンガン行っても、技術のあるピヴォだとかわされてしまうんです。だから『入る前に勝負しろ』『入ってからはボールを取れるなと思うな』というのが、セオリーでした。実際にピヴォがボールを持ってからも、前を向けなくてパスを返してくれたらOKだと思うし、そこは割り切ってやっています。そういうふうに常日頃からやっていないと、強豪国と対戦したときにいきなりできませんし、なかなか一発で入れ替わられて行かれる恐怖心を分かっている選手も少ないと思うので、そこは自分の強みだと思っています」
―来年にはアジア選手権もありますが、代表に生き残るためにやっていくこととは?
「僕は後ろの選手としてやる覚悟を決めているので。DFでやらせないことを意識してやっていきたいです。それと自分にボールが入ったときは、攻撃で違いを出すこと。ピヴォへのパスや小さいパスでも、司令塔をやらないといけない。ゲームや仲間の動かし方を突き詰めて行けば、十分にやれると思うし、府中も良い結果が出てきていると思います。チームが結果を出すことが、自分の評価にもつながると思うので、まずは府中で良い結果を出せるように頑張ります」

●FP渡邉知晃(名古屋オーシャンズ)
「見ました? 見ました?」
―CKからのダイレクトボレーでのゴールですよね? 見ました。昨日の「打つポジションに行って、ボレーを決めます」という宣言通りのゴールでしたね。
「はい。狙い通りでしたね。キッカー(皆本晃)のサインはボレーじゃなくて普通のシュートだったんですけど、DFの状況を見てボレーに切り替えました」
―シュートの種類まで、サインで決まってるんですか?
「基本的に普通のシュートかボレーシュートかはサインで決まってますよ」
―キックの精度が約束されてないとできませんね。今日は個人的にシュートの意識が高かったように見えましたが?
「そうですね。ボレーの場面は、晃のボールがすごく良かったですし、僕の動きをよく見てボレーに切り替えてくれました。今日は反転シュートの意識を強くしてやってました」
―皆本選手とは昨日まで違うセットだったのに、うまくやりましたね。
「晃とは同い年ですし、よく話しますから。俺がボレー得意ってのも知っていたので、出してくれたんだと思います」
―なるほど。そうやって特長を生かし合うことで、チームの強みができるんですね。
「攻撃は各々のストロングポイントを生かしてやるっていうのがミゲルのやり方なので、やっぱり得意なことは生かしていきたいですね」
―ピヴォには新たに片山選手も入りました。彼も左足という大きなメリットがあります。
「片山くんは体も強いし左利きだし、化けたらかなり日本にとっても大きいと思いますよ。左でキープしてくれたら右足でシュート打ちに行けますからね」
―一緒に出ることも考えているんですね。正直、その発想はありませんでした。
「いや、ミゲルジャパンでの共存はないんじゃないですか(笑)? ピヴォ2枚はなかなかないですからね。ブラジル遠征の時は少しありましたけど。右足でシュート得意な選手が打ちにいけるかなと思いました。一緒に出たら絶対打ちに行きますけどね」
―どうしても点が欲しいオプションに、Wピヴォもあるのでは?
「ミゲルの選択肢にあればあり得ないことはないと思います。僕も今は名古屋でアラやってますし、(森岡)薫くんも左アラでの勝負とかありますか、出来ないことはないですね。スペイン遠征の時にミゲルがそんな話してましたね。『薫のアラもあるから』って」
―少し話が脱線しますが、ミゲル監督の一番のすごさって、どこに感じますか?
「フットサルの知識が凄いとか、戦術の引き出しがたくさんあるとか、そう言ったことは当たり前なので敢えて言わないとして。一番は、間違いなく人間掌握術です!」
―先ほどのピヴォの同時起用を匂わせて、モチベーションを保つのも、人心掌握術の一つ?
「そうですね。メンバー外されたり、試合出れなかったりしてもムカつかない監督ってミゲルくらいだと思います(笑)。みんなのモチベーションを保ったり、自然とチームが同じ方向を向いたり、監督のために頑張ろうと思わせてくれる監督が人間掌握術のある監督だと思います」
―なるほど。心だけじゃなく体も動かさせるから人間掌握術。
「そうです。あ、あともう一人いました。(フウガすみだの)須賀ちゃんもそうですね」
―来年、そのミゲル監督と戦っていくためには、代表に残らないといけません。今回の合宿で見えた課題は?
「オフェンスのシュートまで持っていくチームとしての形と精度だと思います。個人の特徴で打開したり、ゴールを決めるのが一つで。そこは個々で高めていくものですよね。もう一つは、ピヴォ当てからのシュートに持っていく形とか、パラレラ、ワンツー、裏のスペースに飛び出すとかのパターンとか形を増やしていきたいですね。こうなったら裏とか、こういう時はワンツーとか、引いた相手にはピヴォ当てから2枚抜けてシュートまで持っていくと言ったパターンを増やしていきたいですね」
―確かに、なるべく早くゴールを狙いたいのはわかったけど、この形で、っていうところまではまだいってない感じでしたね。
「だから、何個かパターンとしての形がほしいかなと思います。個人の特徴を生かしながらですけどね」

(取材・文 河合拓)

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