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「自分を変えられるもの」世界経験者の東京学芸大DF冨澤が語る「NIKE CHANCE」

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 世界規模のスカウトプロジェクト「NIKE CHANCE」の国内選考会にあたる「NIKE CHANCE ジャパンセレクション」の関西ラウンドが14年1月25日に大阪府のJ-GREEN堺で、関東ラウンドが同2月1日に神奈川県の横浜みなとみらいスポーツパークで開催される。それぞれの勝者が3月8日から10日までセント・ジョージズ・パーク(イングランド)で開催される「NIKE CHANCE グローバルセレクション」へ進出。海外でプロになる夢に近づくことができる。

 前回の12年夏、国内選考会を突破した日本人の高校生選手3人が「NIKE CHANCE グローバルセレクション」を経験し、バルセロナ(スペイン)の地で世界のライバルたちと渡り合った。そのうちのひとり、東京学芸大DF冨澤右京選手(当時桐蔭学園高)はインターハイ日本一も経験している攻撃的SB。国内選考会を勝ち抜き、世界と対峙したDFがその経験とセレクションのアドバイスについて語ってくれた。

「NIKE CHANCE」に挑戦する選手たちは現在、続々とエントリー中。関西ラウンドの締め切りは14年1月23日まで、関東ラウンドは14年1月30日までとなっている(エントリー方法は、Nike Football の公式サイトから、「NIKE FC」にメンバー登録を行った後、セレクションにエントリーすることができる。

―冨澤選手は合格者としての喜びと世界での悔しい思いもしている。あの夏を振り返ると?
「最初は桐蔭の監督に言われて受けに行きました。チャンスをもらったからにはジャパンセレクションには行きたいと思っていました。セレクションでは自分が『目立ってやろう』という意識でした。(2日間のセレクションのうち)1日目は持ち味を出せなくて、ダメかなと思いましたけれど、通って、2日目はまず(会場の)埼玉スタジアムを楽しもうと。あそこで目立つプレーができれば、スカウトの目に止まると思った。スピードや突破の部分で点につながるプレーを心がけました」

―国内選考会を突破した時の気持ちは?
「ビックリしました。落ちた人もいたし、受かったからには、その人達の分までやってやろうと思いました」

―そして世界のライバルたち100人が集まって争われたグローバルセレクション。日本人選手2人がファイナルへ進む中、冨澤選手は次のラウンドへ進むことができなかった。その時の思いとは?
「悔しい気持ちでしたね。(日本人選手では)自分の名前だけ呼ばれなかった。今思い返して見ると、目立つプレーができなかった。最初はこの中だったらやれるな、という気持ちがありました。1日目やって自信が出てきていましたし、実際、ポゼッション、1対1は通用したと思います。でも、8対8のゲームで思うようなプレーができなかった。目立つプレーをしなければ残れない。終わった時は何で落ちたんだ、という気持ちが強かったです。何が足りなかったのか。終わってからひたすら考えて足りなかった部分を補ってやろうと思いました」

―足りなかった部分とは?何が必要だった?
「ボクは攻撃的なSBなんですけど、8対8のゲームで守備の課題が出てしまった。一発で行って入れ替わられた部分があった。こういう面でも目立たなければいけない。今は、大学に入って守備の重要性を学んで厳しい中で成長できたと思います。ただ、あの時は守備よりもまず攻撃で目立たなければいけなかった。今、思い返して見ても『もっとやれた』。悔しいですし、自分があのまま残っていたらどうなっていたのかなと思います。(最終16人による)スカウティングツアーに行ったり、プロになっていたらどうなっていたのか。自分はあそこで落ちて、大学に来ました。大学に来て成長したいと思ったし、今は大学で経験を積んでJリーグに行きたいという気持ちです。ナイキの経験があったからこそ、自分は変わらなければいけないと思いました。あの舞台を経験してよりプロになりたいという意識が強くなりました。そのために、今どうしたらいいのかとか、もっとこうすればいいとか、考えながら意識も変わった。変わることができたのは良かった」

―世界から集まってきたプレイヤーと戦って感じたこと
「身体がしっかりとできている選手がいっぱいいて、年上もいたし、フィジカルの強い選手たちがいた。ただ、負けていなかったと思います。技術も自分の方が上だった。ただ海外の人は自己主張が凄かった。ボクは8対8のゲームでSBがやりたかったんですけど、もうひとりSBをしたいと言っている選手がいて開始ギリギリまで言い合ったけれど、最終的に自分は譲ってSHをやった。そのSBは最終の16人に入りました。動かないし、攻撃も上がらない。守備の処理は良くて大きかったけれど、『自分が』と思うと悔しかったですね」

―このCHANCEを通して得たもの、現在の自分に何が活かされている?
「サッカーに対する考え方が変わりました。プロになりたいという思いが強くなって、1日も無駄にできないと感じました。海外の選手はフィジカルが強かったので、自分もやらないといけないと思った。あとはもっと自分を出すということ。どの練習でも、試合でも出せるようにならなければいけない」

―改めてCHANCEの良さとは?
「自分を変えられるものかなと。自分の将来が決まるかもしれないし、プロに行けるかもしれない。いろいろなものを経験できる企画だと思いました。受けて良かったと思います。悔しかったけれど、もう1回受けたいですね」

―今回、「CHANCE」を受けようと思っている高校生たちへアドバイスするとすると?
「セレクションなので、見てる人の目に止まらないと受からない。自分の特長をしっかりと出して欲しいです。あとは受かりたい、という気持ちを出せれば自然と目に止まると思う。そういう気持ちを持ってやってほしい」

―最後に今後の目標を
「今回(12月に)関東大学選抜候補に選んでもらったけれど、残れませんでした。来年はチームで活躍して関東選抜や全日本に絡んでいけるように努力していきたい。そしてプロという目標を達成したいです」

★NIKE CHANCEの詳細はこちら

(取材・文 吉田太郎)

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