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[大学選手権]強風とともに先制パンチ!国士舘大が総理大臣杯王者・流通経済大撃破!

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[12.20 全日本大学選手権準々決勝 流通経済大2-4国士舘大 麻溝]

 第62回全日本大学サッカー選手権準々決勝が20日に行われ、総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント優勝の流通経済大と国士舘大(関東4)との関東勢対決は国士大が4-2で勝った。国士大は02年度以来11年ぶりとなる4強進出。22日の準決勝で鹿屋体育大(九州1)と対戦する。
 
 試合前のコイントスを取った国士大の右SB石川喬穂主将(4年=広島皆実高)はエンドチェンジを申し出て、風上で前半を戦うことを選択する。すると、試合前から吹き付けていた風は、突風となり、10分が経過した頃には雹(ひょう)までもが打ち付けてきていた。流経大にとっては強風と雹を正面から受ける形に。その荒天の中で国士大がラッシュする。前半8分、左サイドを切れ込んだFW平松宗(3年=新潟ユース)のラストパスに逆サイドから飛び込んだMF佐々木陸(3年=東福岡高)が右足で合わせて先制すると、さらに23分には右サイドの石川がFW新村武玄(4年=東京Vユース)の足元へボールをつけると、ターンした新村がPAへラストパス。これを平松が右足ダイレクトで逆サイドのゴールネットへ叩き込み、2-0と突き放した。

 国士大・細田三二監督も「2点目までは最高の出足だった」と讃えた2発。これで流経大は苦しい展開となった。ただMF中山雄登(4年=広島ユース)の左足セットプレーなどから反撃する流経大は39分、左FKからの混戦で中央のMF椎名伸志(4年=青森山田高)が必死に競ると、そのこぼれ球を拾ったMF石井雄輔(4年=流通経済大柏高)がグラウンダーの右足シュートをゴール右隅へねじ込んだ。国士大は41分に右MF佐々木のドリブル突破から橋本が決定的な右足シュート。45分にはゴール前のこぼれ球に反応したMF進藤誠司(3年=流通経済大柏高)が右足を振りぬくが突き放すことができず、流経大は十分に逆転の望みを持ったまま前半を終えた。

 ただ雹から変わっていた雨はハーフタイムに止み、追い風のアドバンテージも減少した流経大から国士大が3点目を奪う。9分、国士大は左サイドゴールライン際での攻防戦で進藤が一度ボールを失いかけながらも、馬力を発揮してDFの前に出ると、流経大DFがたまらずファウル。指揮官も「あそこで行ける選手は少ない」と評した粘りとパワーが国士大にPKをもたらした。国士大はこれをMF橋本拓門(4年=柏U-18)が右足で豪快に蹴りこんで3-1と突き放した。

 新村と平松の2トップが前線でしっかりとボールを収め、進藤や佐々木、石川が前へ、前へと出てくる国士大が勝利へ一歩近づいた。それでも今季、劣勢を何度も白星に変えてきた流経大の前への力も負けていない。早めに前線へボールを入れるとクロス、セットプレーからゴールへ押し寄せる。そして29分、椎名の左クロスをFW田上大地(2年=流通経済大柏高)がコントロールから左足ボレー。これはゴールマウスに阻まれたが、跳ね返りを交代出場のMF富樫大介(2年=鶴岡工高)が押し込んで再び1点差とした。

 流経大は33分にも左サイド後方からPAへ入れたボールがゴール前まで抜けてあわやのシーンが生まれるが、国士大はGK小澤章人(3年=西武台高)とCB今瀬淳也(3年=市立船橋高)が何とかボールをかき出してピンチを逃れる。後半だけで計12本のCKを得た流経大は何とかゴールを破ろうとするが、今瀬、全日本大学選抜CB仲島義貴(2年=神戸U-18)らが集中した守りを見せる国士大から「あと1点」を奪うことができない。逆に耐えた国士大は49分、交代出場のFW福田真也(4年=日本航空高)が右サイドで粘ってボールをキープすると、その落としを受けたMF田中智也(1年=横浜FMユース)が強烈な右足シュートを逆サイドのゴールネットへ突き刺して勝負を決めた。夏冬連覇の夢が潰えた流経大のJ注目MF椎名は「前半の2点が重かったですけど、それプラス自分の動きもこの結果につながってしまったと思う。大臣杯は(怪我で)自分が出ずにタイトル。今度は自分がプレーして負けた。それが全てだったと思います」と唇を噛んた。

 今の国士大には揺るぎない自信と優勝への思いがある。関東リーグ1部では5月までの9試合を最下位で折り返しながらも、9月の第10節からの13試合を8勝4分1敗。後半戦の11試合だけみればリーグ3連覇を達成した専修大をも上回る勝ち点数で駆け抜けた。そして今大会ではJ内定者5選手を擁したタレント軍団・阪南大(関西2)との2回戦に続き、夏の全国王者・流経大も突破。ただ石川は「自分の中では(決勝までの)4試合やるっていうのが当たり前。1勝、2勝したからって慢心はありませんし、ここで喜んでも次があるので、喜んでいる暇はないと思います。準決勝も勝って、優勝するのが目標。まだ4分の2しか終わっていない」と前を見据える。

 最下位からの立て直しを図った今夏は遠征にも出ず、自分たちのグラウンドで午前午後の2部練習、時には3部練習も行ってきた。平松は「みんなの意識が変わって、夏合宿が今の結果につながっている。今は勢いも感じますし、ひとつのチームとしてまとまっている」と自信を見せる。走り、1対1、シュート…原点に戻ってひたすら行ってきたトレーニング。それがどん底から這い上がる力となった。どん底を知っているからこそ、チーム内に甘さも見られない。「半年前はチーム状況が悪かったので、今の状況は想像はできなかったですけど、後期に入ってチーム状況が良くなって、このチームならば(インカレで)優勝を目指せると思っていました。(国立の表彰台で)カップを掲げるイメージはできている」と石川。シーズン後半戦から凄まじい勢いで走ってきた国士大が九州王者・鹿屋体育大との準決勝も突破する。

[写真]前半8分、先制点を決めた国士舘大MF佐々木がユニフォームにキス

(取材・文 吉田太郎)
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