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[2013Jユースカップ]神戸U-18、悪夢を振り払うPK戦勝利で日本一

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[12.23 Jユースカップ決勝 神戸U-18 2-2(PK6-5)広島ユース 長居]

 2013Jユースカップ 第21回Jリーグユース選手権大会は23日に大阪長居スタジアムで決勝戦を行い、2-2で突入したPK戦の末にヴィッセル神戸U-18(兵庫)が6-5でサンフレッチェ広島ユース(広島)を下し、14年ぶり2度目の優勝を飾った。神戸U-18の優勝は、大島康明や森一紘らを擁した「ヴィッセル神戸ユース」時代の1999年以来。久しぶりのタイトル獲得となった。

 試合開始直後、神戸はいきなり右サイドを突破。FW南島彰人のクロスを狙ったFW米澤令衣のシュートはブロックに阻まれたが、こぼれ球をFW藤本裕豪が押し込んで先制。開始わずか20秒という電光石火の早業で試合をリードした。

 その後も全体的にポジショニングの早い神戸が主導権を握った。動き出しが早いため、パスがズレても受け手がボールに寄れるため、攻撃が停滞しない。対する広島はGKや3バックがボールを持った際にプレッシャーを受けてビルドアップが機能せずに苦しんだ。前半19分、神戸は中盤でパスを受けたMF表原玄太(愛媛FC内定)がドリブルで前へ進むと豪快なミドルシュート。準決勝に続く2戦連続ゴールでチームに追加点をもたらした。

 しかし、広島はここから粘りを見せ始めた。30分、どうにか右のハイサイドへ攻め込むと、クロスをFW加藤陸次樹が競って残し、こぼれ球をU-18日本代表MF川辺駿(広島プロ契約)が決めて1点差。試合のペースを巻き返して後半へ突入した。

 後半は広島ペースで進んだ。神戸の野田知監督は「点が入るのが早過ぎたので、この後どうやっていこうかと考えていた。ハーフタイムには、相手は『逆転の広島』だぞ、気をつけろと言って送り出した。守備はシステムがかみ合わないのでボールを持つことが大事だったが、後半はボールを持たれてしまった」と振り返る。

 実際に広島の反撃力は相当なものだった。後半19分、川辺がやや強引に相手2人の間を抜く突破からシュート。こぼれ球にMF椿本啓祐が反応したが、シュートは神戸のGK吉丸絢梓に防がれた。集中力と走力を落とさずに対応する神戸だったが、広島の「追う力」はすさまじかった。後半33分、川辺が右サイドへ展開し、椿本のクロスにFW諸岡佑輔が飛び込んで同点弾を決めた。

 試合は延長戦に突入し、死闘となった。双方攻め合う展開で体力を激しく消耗。足がもつれる中で必死に走り回る総力戦となった。広島は延長後半9分に諸岡が左サイドから思い切ったミドルシュートを飛ばしたが、クロスバーに嫌われて逆転には至らなかった。試合は110分を終えても決着がつかず、PK戦へ。神戸は15日にプレミアリーグチャンピオンシップで流通経済大柏高(千葉)にPK戦の末に敗戦。再び日本一の座をかけたPK戦となったが、トップチーム昇格が内定している守護神の吉丸が魅せた。PK戦はどちらも失敗がなくサドンデスに突入。後攻の神戸は相手の6人目を吉丸がセーブ。右に跳び、ボールを弾き出した。そして直後にキッカーのFW松井慎太朗がPKを成功させ、悲願のタイトルを獲得した。「またPK戦になったけど、嫌だなという気持ちはなかった。今度は必ず1本止めるという気持ちだった」という吉丸は渾身のガッツポーズで歓喜を表現した。

 現在はトップチームで活躍するDF岩波拓也らを擁した昨年に比べると戦力が落ちると言われていた神戸だったが、最後の最後で先輩たちも成し遂げられなかった日本一の座に輝いた。野田監督は「先週も延長PK、今週も延長PK。本当に頑張ってくれたと思う。よくやったぞ!」と快挙を遂げた教え子たちを労った。一方、広島は今季全国大会の準優勝が2回。タイトルにわずかに届かなかったが、望月一頼監督は「彼らがこの1年で成長したことは間違いない。そこは自信を持ってほしい」と胸を張った。シーズンの集大成にふさわしい、日本一決定戦だった。

(取材・文 平野貴也)
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