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[MOM924]神戸U-18GK吉丸絢梓(3年)_雪辱のPKストップで日本一奪取

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.23 Jユースカップ決勝 神戸U-18 2-2(PK6-5)広島ユース 長居]

 トップチーム昇格内定の守護神が、最後の最後でタイトルを手繰り寄せた。PK戦にもつれ込んだJユースカップ決勝戦、神戸U-18はサドンデスに突入した6人目で相手キッカーのシュートをストップした。GK吉丸絢梓(3年)は、冷静に相手の助走や仕草を見てコースを予測。相手が足を振ると同時に頭の中で決めていた右側へ跳び、伸ばした両手でボールを弾いた。そして、続く味方のキッカーがゴールを決め、神戸U-18が日本一の座に輝いた。

 勝利の立役者となった吉丸は「正直、同点に追いつかれたときはヤバイなと思ったが、すぐに気持ちを切り替えた。最後はしっかり止められて良かった。最後にタイトルが取れて本当に嬉しい。トップ昇格に弾みがつく」と喜びを語った。「絶対に1本は止められると思っていた」――自身を信じる力で勝利に貢献した。1週間前、プレミアリーグチャンピオンシップの流通経済大柏戦ではPK戦で1本も止めることができずに悔しさを味わった。それでも吉丸は「止められなかったけど、予測が当たっていたことは自信にした」と話した。

 宮崎から神戸に移り、ヴィッセルでの3年間でさらに成長を遂げた。特に自信がついたのは、クロス対応。下級生の多いチームの中で、吉丸は大きな頼りどころだった。野田監督は「後ろに吉丸がいるかいないかでは、安心感が違う。スピードがあるし、ハイボールにも強い。彼がゴールマウスにいるときは、セットプレーでもあまり心配しなかった。下級生の頃はあまり声を出さなかったが、3年生になって責任感も出てきた。やっと言葉を覚えたのかな」と冗談交じりに守護神への信頼感を示した。とにかくチームからの信用は厚い。1年生の右DF藤谷壮は「後ろにいてくれると安心できる。入りそうなボールも弾いてくれる。最悪、シュートを打たれても止めてくれるだろうと思えてしまう」と絶対的な信頼を寄せていた。

 トップチーム昇格にあたり、吉丸はコーチングを課題にしている。しかし、その素養はすでにチームの中で示している。CB加古晴也は「どの試合も逆転できるチームだけど、それにビビって受け身になったらダメ。最後は攻められたけど、勝ち越されずにPK戦に持ち込めたことが良かった。吉丸君の存在は、大きい。ハーフタイムに細かい指示を出してくれるし、すごく接しやすい。試合中も安心して守備ができる」と、目に見えないところでも気を配っている先輩の姿を明かした。藤谷の「普段は静かなタイプだから、ハーフタイムでは守備で上手くいっていないところを指摘してくれると、(そのギャップが効いて)そこでみんなが引き締まって、バックラインがまとまる」というコメントにも、頼もしい守護神の姿が垣間見られた。トップに昇格し、今度はプロで日本一へ。将来が楽しみな守護神は、Jユース日本一のタイトルを手土産に次の世界へ進む。

(取材・文 平野貴也)
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