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[選手権]「優勝してこそ復活」“西の横綱”東福岡が15年ぶりVへ一丸

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「優勝することで全国の人に東福岡という名が広まる。優勝してこそ復活です」。98年度以来15年ぶりの全国制覇を狙う東福岡(福岡)のU-18日本代表候補FW木戸皓貴(3年)はそう言葉に力を込めた。東福岡はMF本山雅志(現鹿島)を擁した97年度大会決勝で帝京(東京)を2-1で下して初優勝。翌98年度大会も決勝で帝京を4-2で破り、戦後6回目となる大会2連覇を達成した。「ヒガシ」の赤いユニフォームが国立を彩ってきたが、その後は02、07年度大会で準々決勝で敗れるなど4強・国立進出はゼロ。ここ3年は激戦区福岡県予選で敗退するなど、全国上位から遠ざかってきた。それでも、今年は得点王候補の木戸、技巧で違いをつくるMF松田天馬、187cmCB熊本雄太(ともに3年)のU-18日本代表候補トリオや注目の2年生MF中島賢星などタレントが揃い、組織力も兼ね備えた“西の横綱”と言える存在になっている。

 新人戦、総体の九州大会2冠。そして高校年代最高峰のリーグ戦、プレミアリーグWESTでは最終節まで優勝争いを演じて過去最高の2位に食い込んだ。それも後半戦はエース木戸が左第5中足骨骨折で大半を欠場する中でチームは快進撃。実力は間違いなく今大会トップクラスにある。ただ、選手たちは目標こそ優勝を掲げているが、一戦一戦に集中している。

 チームは全国高校総体での初戦敗退から変わった。地元・福岡県で開催された全国総体で優勝候補の一角に挙げられていた東福岡だが、初戦で滝川二(兵庫)に0-1で敗戦。地元の期待を一身に背負っていたチームは、やや先を見過ぎてしまっていた。ここから個々の我の強かったというチームの意識が変わった。木戸は「インターハイが終わってからチャレンジャーとしてやってきた」と振り返るが、高校総体敗退後は練習の開始前と終了後に選手だけで集まって一言ずつ気持ちを出し合うなど、MF阿部敬太主将(3年)中心に方向性がひとつになるための行動も行ってきた。

 夏に比べて練習の雰囲気もいいという今回は、総体の雪辱の思いも込めて戦う。伝統のオープン攻撃に加えてブレイク必至の10番・松田や阿部、MF草野昂希 (ともに3年)、中島らが見せるスピーディーなパスワークも注目だ。県予選決勝でハットトリックを達成した木戸は、当時まだ故障明けで本調子ではなかったものの、現在は確実に復調してきている。この日の開会式で憧れの舞台である国立に立ち「広いなと感じました」と語った松田は、「自分たちがやってきたことをやるだけ。アグレッシブなサッカーで『スゲェな』と言われるようなサッカーをしたい。ヒガシという名が知れて、良いサッカーをしている姿を見せたい」と誓った。まずは31日に行われる米沢中央(山形)との初戦に集中。「最後の国立」で“赤い彗星”東福岡が輝く。

(取材・文 吉田太郎)

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