[12.31 高校選手権1回戦 徳島市立1-1(PK3-2)帝京長岡 等々力]

　第92回全国高校サッカー選手権は31日、各地で1回戦を行い、等々力陸上競技場の第1試合では2年ぶり13回目の出場となった徳島市立(徳島)と2年連続4回目の出場となった帝京長岡(新潟)が対戦した。15対6というシュート数が示す通りに、帝京長岡が試合を優勢に進めたものの前後半80分を終えて1-1のまま、決着はPK戦にもつれる。PK戦を3-2で制した徳島市立が2回戦に進出している。

　序盤は両チームに固さもあったが、前半9分に帝京長岡はFW山田貴仁(3年)がPA内でパスを受けてシュートに持ち込む。これはGK高橋理駆(3年)に防がれたが、こぼれ球を拾って、クロスを上げる。逆サイドでMF小池一馬(3年)がヘッドで合わせたが、枠を捉えられなかった。それでも、このプレー以降、帝京長岡は押し気味に試合を進めていく。

　前半13分には、MF柳雄太郎(3年)と山田の連係で中央を突破。ゴール前で山田がGKも引き付けると、中央でフリーになっていた柳にリターンパスを送る。しかし、柳は慎重にシュートを打ったことで、DFに戻る時間を与えてしまい、ライン上でDF中峯正博(2年)にクリアーされ、決定的な場面を活かせなかった。

　ピンチの後に、チャンスあり。前半15分、ここまで耐えて来た徳島市立は、中峯が左サイドからゴール前にクロスを入れる。するとDFがヘディングをミス。ボールがゴール前に流れると「DFが被るなと思っていました。イメージどおりでした」と話すFW大西致誠(2年)が、右足で豪快なボレーシュートをゴールに突き刺し、1点をリードした。

　先制された帝京長岡も、すぐに反撃に出る。前半20分、山田がPA内でドリブルを仕掛けてCKを得る。このCKから柳が入れたボールを山田がヘッドで合わせて、帝京長岡が試合を振り出しに戻した。帝京長岡は山田にボールを集めながらも、28分には中盤でフリーになった小池が、意表を突くミドルシュートでゴールを狙うなど、攻撃のバリエーションを見せたが、追加点を挙げられないまま前半を折り返す。

　後半、最初に決定機をつくったのは徳島市立だった。7分、大西が最終ラインの裏をとり、GK亀井照太(3年)と1対1になる。大西はドリブルからシュートを放ったが、ここはGK亀井に阻まれた。この場面以降、後半30分まで徳島市立は河野博幸監督が「相手の能力があるので押されっぱなしになってしまった」と認めたように、押し込まれる展開になる。

　後半10分には柳のCKが直接ゴールマウスに飛ぶが、ゴールライン上でDFにクリアーされる。同19分にはゴール前の密集でボールをキープした山田が、右足でシュートに持ち込むが枠を捉えられず。その2分後にも徳島市立の守備のミスから、DF小池拓夢(1年)がPA内からシュートを2本打ったが、1本目はGK高橋に阻まれ、2本目は枠外へふかしてしまった。

　逆転ゴールを狙う帝京長岡は、後半27分に2人を交代し、展開力のあるDF笛木浩大(3年)をボランチに上げた、より攻撃的な布陣をとる。しかし、運動量の低下もあり、カウンターからピンチも招いた。後半33分には徳島市立のMF郡捷太(3年)に左サイドを突破されてシュートを打たれたが、GK亀井が鋭い反応でゴールを守る。その3分後にも再び左サイドから郡がゴール前にクロスを入れられたが、左SBに移った吉田瞬(3年)が懸命にゴール前に戻ってボールをクリアーした。

　試合終了間際には、帝京長岡も自陣からのロングボールをPA内で笛木がヘッドで折り返し、チャンスをつくる。絶好のボールがゴール前の山田に届いたが、渾身のボレーはゴール右へと逸れて行った。「あの場面は落ち着いて打ったつもりだったが、あらためて試合後に振り替えると、もっと冷静になれたと思う」と山田は唇を噛んだが、このまま試合はPK戦に突入する。

　先攻の帝京長岡は一人目の柳が成功。対する徳島市立は郡のシュートがGK亀井に止められる。しかし、直後に帝京長岡も小池がシュートを枠外へ。徳島はMF岸田龍也(3年)が決めて同点に追いつく。3人目は両チームが成功すると、帝京長岡は4人目のキッカーにエースの山田が登場。ゴール左にシュートしたが、GK高橋に阻まれた。徳島市立はDF辻拓也が4人目に登場。シュートはGK亀井の手を弾き、ゴールに決まって徳島市立が逆転する。迎えた帝京長岡の5人目、GK亀井がキッカーを務めたが、シュートは枠外に飛び、試合終了。「最後のところでしっかり守れていたけれど、ラッキーな面もあった」(河野監督)徳島市立が、2日の2回戦に駒を進めている。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文　河合拓)

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