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[MOM940]履正社MF林大地(1年)_右を切り裂くジャックナイフ

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 高校選手権1回戦 履正社2-0秋田商業 等々力]

 履正社にとって、初めての選手権。その舞台でもっとも輝いていたのは、1年生だった。圧巻のドリブルに、会場である等々力陸上競技場が沸いたのは、前半27分のこと。MF林大地(1年)は、右サイドの深い位置に追い込まれた。しかし、ゴールラインのギリギリのところでボールをコントロールし、複数のDFを瞬時にかわすと、中央に待っていた味方にパス。シュートはDFにブロックされたが、高いボールテクニックでチャンスをつくり出した。

 林に加え、DF安田拡斗(1年)、MF牧野寛太(1年)と、履正社は3人の1年生が先発出場した。G大阪ジュニアユースから履正社に入った3人は、試合前に約束をしていたという。「最初は緊張しましたよ。自分は1年生で、3年生に選手権に連れてきてもらって、何もかもが初めてなので。すごい緊張しました。でも、一緒に出ている1年生同士で『3年生は今回が最後だから、1年生が一番頑張らないといけない』って話していました」。

 キレのあるドリブルで好機を演出した林だったが、平野直樹監督は少し独りよがりになっていると見ていたようだ。ハーフタイムには、もっと全体が連動してプレーするように、選手たちに檄を飛ばした。後半4分、林は右サイドからダイレクトパスでFW瀧本高志(3年)のゴールをアシストした。

「GKとDFの間が、顔を上げたらパッと見えて。そこに高志くんが走り込んでいたから、狙って入れることができました」と振り返り、ハーフタイムの檄が効いたことを認めた。

「ハーフタイムに受けた指示の影響は、ありましたね。東京遠征に来て選手権の前にも試合をやったのですが、味方を使うプレーっていうのが少なくなっていました。全員が一人で何とかしようとしていて、監督からは『仲間を信じてパスも出して、もう一回中に走れ』ってずっと言われていました。ハーフタイムで、それを思い出せましたね」

 ガンバ大阪ジュニアユースからユースに上がれなかったのは、「単純に実力不足だったからです」と明かす。それでも「ユースに上がれると言われていても、高校サッカーに行こうと決めていたので。今、1年生で選手権の舞台に来ることができているので、良い経験ができていると思いますし、履正社に来るという選択は間違っていなかったと思います」と、続けた。

 選手権に出場した経験のない、履正社に入学した理由を「平野先生が誘ってくれたから」と説明する。「平野先生を全国の舞台で胴上げしたいです」。高校生活で掲げている目標を、今冬に達成できるチャンスは、まだ残っている。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 河合拓)

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