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[MOM945]水戸啓明GK黒子兼汰(3年)_県決勝のヒーローが見せた成長

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 水戸啓明1-1(PK4-3)富岡 ゼットエー]

 会心のPK戦だった。結果的に水戸啓明GK黒子兼汰(3年)がストップしたのは富岡5人目のFW内山翔太(3年)のシュートのみだったが、1人目、2人目も方向はバッチリだった。「PK戦には自信があった」。黒子のプレーに触発されるかのように、水戸啓明はキッカー4人全員が成功。校名変更前の93年大会以来の同校記録となる3回戦へと駒を進めた。

 黒子にとっても成長を見せた場面だった。県大会の鹿島学園との決勝戦も水戸啓明はPK戦を制して勝ち上がってきた。PK戦はサドンデスに突入したが、この試合でも最後のキッカーを黒子がストップしていた。だがそれまでのシュートはコースも読むことが出来ず、鹿島学園にゴールを許していた。ヒーローにこそなったが、「最後しか当たらなかった」と悔しい思い出として残った場面。巻田清一監督も「キッカーすべてにプレッシャーがかけられるようにならないと」と苦言を呈していた。

 ただ大会前にPK練習にも多くの時間を割いたこともあり、駆け引きの重要性を再確認することが出来た。飛ぶ方向と逆の手を上げて相手を錯乱することや、相手が蹴るまで動かないといったことで自信を深めた。ストップした相手の5人目は助走を短く取るなど、“考えさせること”にも成功した。「狙い通りだった」。今回のPK戦は会心のプレーとして脳裏に刻まれた。

 次戦は夏の総体2回戦で敗れた市立船橋(千葉)が相手となる。今日の試合の失点シーン(オウンゴール)のようなミスは特に気を付けなければならない相手であることは黒子も十分自覚している。「負けて悔しかった」。夏に味わった悔しさを晴らすのにこれ以上の舞台はない。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 児玉幸洋)

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