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[選手権]采配ピタリの日章学園が3回戦進出、ピンチも「九州魂」で乗り切る

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[1.2 全国高校選手権2回戦 日章学園2-1桐生一 駒場]

 2回戦からの登場となった日章学園(宮崎)と桐生一(群馬)の両チームは前半に1点を取り合ったが、その後は一進一退の攻防が続いた。ともにシステムを変更し、選手交代を駆使してゴールを奪おうと試みると、試合終了間際の後半38分にスコアが動く。MF松田岳(3年)が決勝点を流し込んだ日章学園が今大会初陣を飾り、3回戦進出を決めた。

 序盤は桐生一が最終ラインのDF松島奨真(3年)の正確なキックで日章学園陣内に攻め込んだ。敵陣深くまでボールを運び、そこで得たセットプレーが桐生一にとって大きなチャンスとなった。188cmのDF乾貴哉(2年)を筆頭に、184cmのMF木村光希(3年)、181cmの松島と180cmオーバーの選手を3人もそろえており、制空権を握れるからだ。しかし、「桐生一は高さがあるので、しっかりと体をぶつけよう。ポジションをきっちり取ろう」と指示を与えた早稲田一男監督の言葉を実践する日章学園が体を張った守備を見せ、得点を奪うには至らない。

 対する日章学園は、ボールを奪えば1トップのFW村田航一(2年)のキープ力を生かして2列目の攻め上がりを促し、桐生一ゴールに迫った。前半15分にはカウンターから松田、MF菊池禎晃(3年)とつなぎ、最後はMF河野翔太(2年)がGK依田龍司(2年)と1対1の場面を迎えるが、飛び出した依田のブロックに遭い、先制のチャンスを逃す。しかし直後の18分、DFラインの裏に抜け出し、村田とのパス交換からゴール前でフリーになったMF甲斐匠(3年)が落ち着いて決め、日章学園が先制に成功した。

 先制された桐生一の見どころは、やはりセットプレー。ニアサイド、ファーサイドに蹴り分けるだけでなく、グラウンダーのボールを選択するなどバリエーションは豊富。ゴール前で待ち受ける選手も1か所に密集したり、ゴールライン上に一列に並ぶなど、日章学園守備陣を混乱させようとした。しかし、前半29分に同点に追い付いたのは流れの中からだった。左サイドでボールを受けたMF浦丸治也(3年)がゴール中央に向かってドリブルを開始。相手CBを釣り出すと、その裏に走り込んだFW齋藤雄大(2年)にピンポイントのスルーパスを送り、齋藤がダイレクトで流し込んだ。

 その後も互いに決定機を生み出す。同点直後の前半30分、桐生一がFKのチャンスから浦丸がネットを揺らすも、惜しくもオフサイドの判定。返す刀で、前半38分には日章学園が決定機を迎え、ゴール前で甲斐のパスを受けた菊池が鮮やかなフェイントでDFをかわすと、狙い澄ましたループシュートを放つ。こちらは依田のファインセーブに遭い、ゴールネットを揺らせなかったが、どちらに追加点が入ってもおかしくない展開が続いた。

 後半に入ると、「2トップにして、スペースを使おうとした」と早稲田監督が狙いを語るように、日章学園は4-2-3-1から4-4-2にシステムを変更。すると桐生一も後半12分にMF大塚遼太郎(2年)をアンカーに配置し、4-4-2から4-3-3へとシステムを変えた。次の1点を狙おうと両ベンチが激しく動く中、後半33分には日章学園が次の一手を打つ。MF藤堂貴久(2年)をボランチに投入し、ボランチの松田が右サイドハーフへ。この采配が、ズバリ的中した。試合終了間際の後半38分、MF木橋春暁(3年)が左サイドを突破してグラウンダーのクロスを送ると、走り込んだのが松田。右足で合わせ、試合を決定付けるゴールを流し込んだ。

 苦しみながらの勝利だった。後半19分にはCKからのピンチをGK永本康造(3年)がライン上で辛くもストップし、失点を免れる。後半34分にも1対1の決定機をつくられたが、永本が体を張ってゴールを守った。どちらに転んでもおかしくない試合だったが、守備陣の踏ん張りに攻撃陣が応える形となり、勝利を手にした日章学園。早稲田監督は「最後は九州魂。根性で勝ちました」と試合を総括した。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)


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