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[MOM954]東福岡MF草野昂希(3年)_抜群の得点嗅覚、中盤の底から飛び出すアンカー

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 佐賀東0-3東福岡 駒場]

 ポジションが目まぐるしく変わる。東福岡の中盤は流動的で、MF阿部敬太(3年)、MF松田天馬(3年)、MF草野昂希(3年)が状況に応じて、前に後ろに動き回った。試合開始時にはアンカーを務めていた草野だが、チャンスと見るや前線に飛び出す。前半13分には得点の匂いを嗅ぎ取り、ゴール前に走り込むと、FW木戸皓貴(3年)のシュートのこぼれ球に反応し、鮮やかなボレーで先制ゴールを叩き込んだ。

「ゴールは率直にうれしかったですね。GKが弾いたときに『来た!』って思いました。こぼれてきたボールを決めるだけでしたが、決めた瞬間に鳥肌が立ったというか、普段感じられないような感覚を味わうことができました」。初の全国選手権の舞台で決めた初得点を笑顔で振り返る。アンカーというポジションに捉われずにゴール前まで果敢に走り込んだことが、貴重な得点を生み出した。

 チームのバランス、試合状況に応じて、こまめにポジションを変えている。「基本はアンカーですが、中盤の3人が流動的にポジションチェンジします。そうすれば相手も捕まえにくいと思うし、味方が空けたスペースに走り込めばチャンスにもなります」。チャンスにつながると思えば、迷いなく中盤の底から前線へ飛び出すが、それもチームメイトのサポートがあってこそ。「自分が攻撃参加したら、トップ下のどちらかが引いてきて、バランスを取ってくれます。だから先制点のときも『ここで上がれば』と思って、思い切り良く上がれました」。仲間との信頼関係がなせる業だ。

 後半21分にはあわや2点目というシュートを放った。右サイドをスルスルと上がると、MF池辺龍次朗(3年)からパスを引き出す。シュートは惜しくもクロスバーを叩いたが、先制点の場面同様、好機を察知する嗅覚を見せ付けた場面だった。アンカーながらもゴールへの意欲を持っているが、何よりも大事なのはチームの勝利だと語る。「自分が決めて勝つのが一番かもしれませんが、チームが全国制覇するための力になれればいいと思っています」。その言葉どおり、この日の見せ場はゴールだけではなかった。後半25分には左サイドへ鋭いパスを通して2点目の起点となるなど、非凡なパスセンスも見せてチームを快勝に導いた。

 チームにとって4年ぶりの全国選手権。自身にとっても初の舞台となるが、物怖じしてはいない。純粋に選手権を、そして東福岡でサッカーをする楽しさを味わっている。「自分たちの代は東福岡に集まると聞いていました。強いチームでプレーしたいという思いもあり、ここへの進学を決めたんです。今までとは違うお正月ですが、この舞台に立てるのは幸せなことだし、最高の雰囲気の中でプレーできて本当に楽しい。だから次もしっかりと勝ちたいです」。“飛び出すアンカー”は幸せな時間を少しでも延ばせるよう、次戦の必勝を誓った。


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