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[選手権]熊本国府に勝利の富山一。13大会ぶりに3回戦進出

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[1.2 全国高校選手権2回戦 富山一1-0熊本国府 埼玉ス]

 第92回全国高校サッカー選手権は2日、2回戦を各地で行い、埼玉スタジアム2002の第2試合では、富山一(富山)と熊本国府(熊本)が対戦。前半19分に富山一は大塚一朗監督の次男でもあるMF大塚翔(3年)が、技ありのゴールを決める。試合終盤は熊本国府の猛攻を受けたが、守備陣が踏ん張り1-0で勝利した。富山県勢として13年ぶりの3回戦進出を決めた富山一は、3日に浦和駒場スタジアムで、市立浦和(浦和)と対戦する。

 打ち合いになった第一試合とは、対照的な試合になった。両チームとも慎重な試合の入りを見せ、フィジカルを押し出した空中戦が繰り広げられる。「向こうも九州の学校で、フィジカルが厳しいし、球際も激しい。似たようなチーム同士なので、こういう試合展開になるだろうと思っていた。最初にどっちが点を取るか。取れない場合は、我慢比べになると思っていた」と、富山一の大塚一朗監督が言う展開の中で、徐々に富山一が試合のペースを握っていく。前半10分にはMF西村拓真(2年)からMF川縁大雅(3年)にボールが渡り、川縁の浮き球のパスをMF野沢裕弥(3年)が受けてゴールへ迫ったが、シュートを打つ直前にDFに阻まれる。

 それでも前半18分には、右サイドでFKを得るとDF竹澤昴樹(3年)がゴール前にクロスを入れる。これをDFがヘッドするとボールは左に流れていく。このボールに反応した大塚がオーバーヘッド気味にシュートを放つと、不意を突かれたGK小野公治(3年)の脇を抜けたボールは、ゴールネットを揺らした。「この1点で少しは余裕ができた」と、大塚監督は振り返る。

 先制された熊本国府も前半20分には、初戦の國學院久我山戦(2-1)で2ゴールを挙げたFW大槻健太(3年)が最終ラインの裏を取って、シュートを放つ。しかし、これはGK高橋昴佑(2年)に阻まれ、同点に追いつくことはできなかった。

 左SBの竹澤と右SH西村が、サイドからシンプルにクロスを放り込む回数の多かった富山一だったが、ゲームメーカーである大塚にボールを集めた攻撃に切り替えたようだった。後半25分にはドリブルを仕掛けた大塚が倒されてファウルを得ると、直接FKからはトリックプレーで壁に入っていた大塚が同じく壁に入っていた竹澤にパス。ノーステップに近い状態から竹澤が強烈なシュートを枠に飛ばしたが、GK小野が好セーブでCKに逃げた。

 1点を追いかける熊本国府は、30分を過ぎるとロングボールやセットプレーで富山一に圧力をかける。後半39分にはDF西村大吾(3年)からのロングボールを右サイドでMF山本貫太(3年)が受ける。ゴール前には大槻も張り仕込んでいたが、山本のパスが長くなり、GK高橋にキャッチされる。後半ロスタイムにも大槻からパスを受けた山本がミドルシュートを放つが、ゴールの上へ。試合終了間際には、パワープレーからPA内で富山一選手のハンドを誘発したかに見えたが、直前にプッシングがあったとして富山一にFKが与えられ、試合終了。厳しいマークに遭ったエースの大槻は、「覚悟はしていたんですけど、厳しい状況でチャンスがあった中で、自分が決めきれなかったことがすべて。申し訳ないです」と、目を赤く腫らせた。

 虎の子の1点を守り切り、4強進出を果たした第79回大会以来の3回戦進出を決めた富山一。しかし、大塚監督は「本当の試合巧者は、もっと1-0で勝ち切ることができると思う。サッカーの世界は1-0が一番美しいと言われるので、最後は慌てないようにしたい」と、3回戦への課題を語り、「夏はベスト8まで行っているので、国立まで行きたい。そのためにも一つひとつの試合をしっかりと戦っていく」と、自分たちの目標を再確認していた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 河合拓)
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