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[MOM959]四日市中央工MF森島司(1年)_スタンド観戦した昨年の悔しさ倍返し!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.3 全国高校選手権3回戦 四日市中央工1-0桐光学園 ニッパ球]

「触るなぁ!! オッケー! オッケー!!」

 ピッチ上に大きな指示の声が響く。前半31分、叫んだのは、四日市中央工のMF森島司、1年生。指示を受けたのは、3年生でチームのエースであるFW井手川純だった。

 この場面、DF大辻竜也(3年)からボールを受けた森島は、寄せの速い桐光学園の裏をかくことを意識していた。このときも、トラップで大きくボールを弾ませ、相手の背後をとろうとした。しかし、ボールは予定より大きく弾み、最終ラインの裏に残っていた井手川の下へと転がった。その井手川がボールに寄ろうとしたところで、あの指示である。

「(井手川が)オフサイドポジションにいたのは知っていました。触ったらオフサイドになると思ったので、咄嗟に声が出ました。あの時間帯は中盤のところにスペースがあって、比較的自由にプレーできてボールもつなげていたので、この時間帯に点を取りたいなと思っていました。良い縦パスが入ってきて、ああいう形で点を取れたので良かったです」

 GKとの1対1を確実に仕留めた森島が、チームに先制点をもたらした。後半に入っても、密集の中から前線にパスをつないだり、サイドでドリブルを仕掛けたりと、堂々としたプレーを見せた。1年生の活躍を樋口士郎監督も喜ぶ。「あの子は常に顔が上がっている。技術も高いですし、戦術眼もある」と、能力を評し「この大会を経験して、たくましさが出てきた感じしましたからね。あの指示も、1年生とは思えないですよね(笑)」と、選手権という大舞台で、成長している様子を喜んだ。

 森島自身も、「三重県予選でも試合に出ていたのですが、選手権は雰囲気が違っていて。1回戦は困りましたけど、2回戦から徐々にできるようになって、今日もボールによく触れて、良い感じになってきました。自分の特徴は、トップ下の位置で受けて、ラストパスを出すことですが、この大会は結構、ドリブルが良くて。ああいう形で今日はゴールできましたし、前の試合でもアシストできました」と、手ごたえを口にする。

 4歳年上の兄である、森島大は2大会前に四日市中央工が準優勝したときのベンチ入りメンバーだった。その兄が朝練に行く姿などを見て、四日市中央工業に行くことを決めていた森島は、昨年の2回戦で四日市中央工が桐光学園に2-4で負けた試合をスタンドで観戦していたという。それもあり「自分のゴールで勝ててよかった」と、顔をほころばせ、「ここまで来たら、優勝したい」と、『兄越え』に闘志を燃やした。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 河合拓)
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