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[選手権]「本当に熱い気持ちになった」富山一・大塚主将が父・大塚監督とともに国立へ

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[1.5 全国高校選手権 日章学園0-4富山一 駒場]

 富山一の主将、MF大塚翔(3年)は、国立進出に感極まらせていた。父・大塚一朗監督と立つ国立。自身にとって夢の舞台であるピッチに立つことができる。大量リードによって試合終了の瞬間をベンチで迎えた大塚は直後に大塚監督とガッチリ握手。「父としても、監督としてもずっと迷惑をかけていたので、国立に連れて行けるというのは……。握手した時は本当に熱い気持ちになりましたね。連れて行けるというのはまだ(目標は先)ですけど、いい恩返しかなと思います」と、その瞬間の思いを明かしていた。

 トップ下のポジションを務める大塚はチームの大黒柱だ。監督の息子であり、主将ということもあり、チームの誰よりも周囲からの視線が集める。それは1年間プレッシャーでもあり、成長するための力にもなった。周りを認めさせるプレーをし、結果を残すことを目指してきた。今大会はここまで2得点。この日も磨いてきた技術、判断力を表現した大塚は的確なポジショニングでボールを収め、判断良く出されるパスで日章学園を後退させていた。3試合連続ゴールこそならなかったが、チームにとって欠かせない存在であることを示して勝利に大きく貢献した。夏の全国総体では8強進出。そして今回、プレッシャーに撃ち勝ち、同校史上最高タイとなる4強切符を獲得して見事に結果を示した。

 国立進出は大塚自身だけでなく、父、そして4歳年上の兄・俊さんにとっても夢だった。兄は4年前、背番号7を背負って選手権に出場。ただ2回戦でルーテル学院(熊本)に0-2で敗退を喫していた。それだけに大塚監督は「ウチの長男坊もここを目指して立てなかったので、長男の俊の思いも背負って2人で立ったら感無量ですね。大塚家としては本当に良かったです。ボクは(国立は)古河電工の時に試合前のアップでボールを蹴っただけなんで。そんないい選手ではなかったのでウォーミングアップだけだった。翔に大塚家を代表して楽しんできてもらえればいい」と心から喜んでいた。

 大塚は「兄も富山第一高校サッカー部でプレーしていた。兄もこの全国舞台に立ったんですけど2回戦で敗れて。きょうも見に来てくれって、毎日勝つごとにメールを送ってくれて、『絶対にオレの分までやってくれ』と言われていました」と思いを語る。ただ、大塚にとって国立はひとつの通過点。目標はここではなく日本一だ。「夢だった国立に立てるということは嬉しいんですけど、日本一になれるようにこれから準備していきたいと思います」。まずは準決勝を突破することに専念。そして、富山一として初となる決勝、日本一の景色を父親とともに見る。

(取材・文 吉田太郎)
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