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2年生FWが世界へ!!「NIKE CHANCE」ジャパンセレクション関西ラウンド勝者は履正社FW瀧本に決定!!

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 「世界で戦える」若き才能を探す世界規模のスカウトプロジェクト「NIKE CHANCE」のジャパンセレクション関西ラウンドが25日、大阪府堺市のJ-GREEN堺で開催され、全国8強の履正社高(大阪)FW瀧本高志(2年)が3月にイギリスで行われる「NIKE CHANCE グローバルセレクション」への出場権を獲得した。瀧本はイングランド代表チームの本拠地であるセント・ジョーンズ・パークで世界50か国(予定)から選ばれたアスリートたちと激突。16名が進出するビッグクラブへのスカウティングツアー(14年7月~)、そして「NIKE CHANCE」の勝者が参加するナイキ・アカデミー入りを目指す。なお、“日本代表”もう1人を決める「NIKE CHANCE」のジャパンセレクション関東ラウンドは2月1日に開催される。

 ジャパンセレクション関西ラウンドは、最終24名による3次審査終了後も合格者の予想がつかないような激戦だった。最後のアピールの場となった25分ハーフのゲームで個性を発揮した選手が続出。「NIKE CHANCE ジャパンヘッドスカウト」である元日本代表DF名良橋晃氏も「選びたかった選手が多かった」と胸中を明かしたが、「瀧本くんは結果を出したということがありましたし、周りの選手も生かせるプレーも出せたし、運動量も多かった。海外へ行って個性を発揮できるというか、セレクションでも自分のプレーをしっかりと出してくれるかなと思って選んだ。(中西)永輔とか長谷川(祥之)さんとかも意見は一緒だった。最初のインパクトじゃないですけど、強烈だった」と、最も重要な選考試合で2ゴール3アシストの大活躍を見せた瀧本の名を勝者として告げた。

 今回の「NIKE CHANCE」には名良橋ヘッドスカウトをはじめ、元日本代表DF中西永輔氏、鹿島アントラーズ強化部の長谷川祥之氏、浦和レッズ強化部の宮崎義正氏、そしてNIKE FCコーチのリー・マンソン氏、櫛山匠氏もジャッジを担当。彼らが「やるからにはベストを」「楽しく一生懸命に」と言葉を掛ける中でスタートした1次予選は、欧州でプロになることを夢見る16歳から18歳の約50名が1対1、2対2、そして8分3本の4対4などでアピールしていく。元日本代表選手やJクラブのスカウトたちの視線の中でやや緊張した面持ちを見せていた選手たちだが、4対4でMF澤田涼平(久御山高)が左クロスを胸でゴールヘ押し込めば、FW細川裕貴(四天王寺羽曳丘高)が豪快な縦突破を披露。FW成吉萌人(大阪商大堺)の左足での絶妙なミドルパスからMF岸本青空(追手門学院高)が鮮やかにゴールヘ押し込むようなシーンもあった。2次審査からの参加だった瀧本も「受ける前から正直あまり自信なくて、選考見ていても1次から上手い人ばかりやった」と驚いていたほどだった。

 事前に選出されていた“シード組”も加えて44名が参加した2次審査では攻撃3名対守備2名のアタックディフェンスまではなかなか声も出ず、「世界へ行く」という情熱を身体で表現する選手も少なく、ジャッジ担当者たちもやや物足りないような表情を見せていた。それでも8対8では声もプレーでも積極性が出てくる。注目を集めた冬の全国大会得点王、FW長谷川覚之(神戸弘陵高)がドリブル、ラストパスで違いを示し、12年国体日本一のMF岩井健人(滝川二高)の果敢な仕掛け、大型MF松室直希(一条高)のダイレクトパスなど注目選手たちが存在感を示す一方、小柄なリベロ、DF島優希(久御山高)の攻撃参加やMF笹倉蓮(作陽高)の左足でのゲームメークなど1次審査から参加の選手たちも、「グローバルセレクションを想定して組んだ」(NIKE関係者)という非常にハードなスケジュールの中で奮闘していた。

 そして2次審査をパスした24名が12名2チームに別れて行った選考試合、3次審査ではそれぞれが個性を発揮する。ともに4-4-2システムを組んだ選考試合はビブス青チームのGKが澤田良介(久御山高)。試合開直前に発覚した「右SBがいない」というアクシデントで急遽先発が決まったFW四方健介(久御山高)が右SBに入り、CBは八田紘輔(久御山高)と横畑慶太(久御山高)、左SB井上裕也(小野高)、ダイヤモンド型の中盤はMF西村拓也(滋賀学園高)が1ボランチの位置に入り、右MFが岩井、左MFが岸本、トップ下が長谷川、2トップはFW馬籠一輝(立命館宇治高)と尾崎大輝(大阪商大堺高)が入った。前半途中から室屋達志(同志社高)が右SB、田方が後半に中盤右サイドを務めるなど、メンバー、ポジションを入れ替えながら50分間を戦った。

 一方、ビブス黄色チームはGK久松礼於(履正社高)。4バックは右から島、石田一真(エストレラ姫路U-18)、松室、久保喬祐(市立尼崎高)。中盤は笹倉が1ボランチに入り、右MFが奥井雄義(御影高)、左MFが徳地広大(立命館宇治高)、トップ下が大村英梨也(久御山高)、そして2トップは瀧本と廣井隼人(東大阪大柏原高)が務めた。後半からは滝川維星(茨木高)が左MFに配置され、松室が中盤の底の位置に上がるなど、こちらも柔軟性のある陣容で最後のアピールに臨んだ。

 ここまで1次選考を突破しながら怪我のために2次選考を辞退した選手や自信のあるポジション以外でのプレーで力を発揮できずに涙をのんだ選手もいた。彼らの思いも背負って試合に臨んだ24名の最終選考となるゲームは白熱した。まずスコアを動かしたのは青チーム。長谷川のスルーパス、岩井の絶妙な右クロスで決定機をつくると、12分だ。長谷川のスルーパスから尾崎が抜けだしてGKをかわすと、右サイドからの折り返しを馬籠が押し込んだ。ただ黄色チームは14分に瀧本が自らのドリブル突破で獲得したPKを決めて追いつくと、15分には瀧本が右サイドを打開し、そのラストパスを廣井がゴールヘ沈める。17分にも大村のスルーパスからGKをかわした廣井が加点すると、19分には松室を起点とした攻撃から、左サイドでDFを振りきった瀧本の折り返しを廣井が合わせ、廣井はわずか7分間でハットトリックを達成した。

 その後も黄色チームは笹倉の左足シュートがクロスバーを叩くなどチャンスをつくる一方、関係者たちから高い評価を得ていたGK久松の鋭い飛び出しとシュートセーブ、石田や久保がPAで好守を見せるなどチームとしていいムードで試合を進めていく。そして後半も滝川のパスから抜けだした瀧本のゴールと、瀧本の突破から笹倉が決めたゴール、そして松室の攻撃参加から笹倉が決めたゴールで7-1。後半半ばからがむしゃらさにゴールを目指していた青チームも23分に四方のスルーパスから長谷川が1点を返す。岩井が自ら獲得したPKは久松のビッグセーブに阻まれたものの、27分にも岸本が意地のゴールを決めた。結果、快勝した黄色チームで最大の存在感を発揮した瀧本が、長谷川や笹倉らを抑えて“世界切符”を獲得。“日本代表”の座を手にした。

 3次審査発表後中西氏は参加選手たちへ向けて一日一日の時間の重要性を説いた。「思春期というか、遊びたい盛りだと思う。(でも)香川とか、本田とかああいう選手になりたいと思うのであれば、一日一日大事にしなければいけない。遊ぶこともあるとは思う。ただ、積み上げていくのは本当にゆっくり。1しか上がっていかないのが、落ちて行く時は5とか10とか一気に落ちていってしまう」と継続して積み上げていくこと、メリハリをつけた生活をすることをアドバイス。また名良橋氏は「個人の能力が高いとそこに目がいきがちですけど、ボールのないときの動きとかモチベーションづくりとかも大事」と語り、次回2月1日に関東セレクションを受ける選手たちへ向けて「自分のプレーをしっかりと出さないと結果は出ないと思いますし、対人だけではなくて4対4とかグループの練習でも周りと関われるように、コミュニケーション取りながらチャンスを生かしてほしいなと思います」とエールを送った。2月1日、関東セレクションでもうひとりの若き“日本代表”が決定する。突破して瀧本とともに世界へ挑戦する権利を得るのは「誰だ」。

(取材・文 吉田太郎)
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