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[MOM975]綾羽MF岩井健(2年)_闘将が狙い通りのV弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.26 滋賀県高校新人戦決勝 綾羽1-0彦根東 ビッグレイク]

 綾羽の新しいリーダーは決勝ゴールを決めた後もニコリともしなかった。「自分らの本来のプレーができなかった」と厳しい表情。それでもMF岩井健主将(2年)が狙い通りにゴール右上隅を破った鮮やかな一撃がチームを優勝へ導いた。

 攻めながらもスコアを動かせないまま迎えた後半開始直後に決めた決勝点。「点を決めなきゃ勝ちもないと思っていた。あそこは自分でいこうかなと。自分は昔、左サイドをやっていたことがあったので、左サイドから中に入って、風があるし、威力って言うよりもコースを狙ったら、いけると思った」。左サイドのオープンスペースでボールを受けると、中央へ切れ込みながら右足を一閃。シュートを打つ前にルックアップしてゴール右上隅を確認してから放った右足シュートは見事に視線の先にあったゴールを射抜いていた。

 この日は味方を叱咤する声が何度もピッチに響いた。「時には厳しく言おうと思うんですけど、もっと後ろから(声でチームメートの背中を)押してあげようと思っています。感情的になりやすくて、感情的になるとめっちゃ言ってしまうので……」。確かにこの日はやや感情的になってしまっている部分もあり、それを本人も反省。ただ今後も積極的に声を出していくつもりだ。

 選手主導のボトムアップ育成を導入している綾羽にあって岩井は先輩の3年生にも意見する選手だった。それで1学年上の主将と言い合いをしたこともあるという。本人は「キャプテンとか全然そういうキャラではなかった」というが、人をまとめる立場になることで成長できるというアドバイスを岸本幸二監督からも受けて「ひとりの選手として良くなりたいなと思って決めました」と主将を務めることを決めた。

 2年前のJFAプレミアカップ決勝で京都サンガF.C.U-15を日本一へ導く優勝決定弾を決めている実力者。2列目から正確なキック、パスでチームをコントロールしつつ、1トップと入れ替わるように前線へ飛び出して決定的な仕事もする。自主性の高いチームのリーダーを務めることで人間的にも成長し、そのポテンシャルをさらに開花させる。

[写真]後半4分、綾羽MF岩井が右足シュートで決勝点を奪う

(取材・文 吉田太郎)

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