日本のユース年代で現在、周囲から最もターゲットにされているチームが日本一へ向けたスタートを切っている。流通経済大柏高(千葉)は昨年、高校年代最高峰のリーグ戦である高円宮杯U-18サッカーリーグプレミアリーグEASTで高体連所属のチームとして初めて優勝。12月に開催された高円宮杯チャンピオンシップでもプレミアリーグWEST優勝のヴィッセル神戸U-18(兵庫)を1-1からのPK戦の末に下して初のチャンピオンシップ制覇、日本一獲得を成し遂げた。冬の高校日本一を懸けた戦いには出場することができなかったが、新生・流経大柏は快挙の余韻が残る中でスタート。新潟入りする先輩MF小泉慶から攻撃面では「オレを超えている」と言われているという新司令塔候補MF相澤祥太は「自分らの代でも日本一を取ろうというのがある。上の代を越えなきゃいけないというプレッシャーがあるんですけど、それを乗り越えないと何も始まらない」と先輩越えを誓った。

　近年の流経大柏には主力以外にも他校ならばエースクラスであろう選手たちの名が並ぶ層の厚さと、本田裕一郎監督が重視する1タッチ、2タッチの技術の高さ、そして足が攣るまで全体力を注いで走り切るような個々のハードワークがチームに勝利をもたらしてきた。中でも昨年の世代は、Jリーグへ進んだ2選手中心に技術が高く、1年時から徹底して磨かれてきたポゼッションサッカーはライバルたちとの差を生み出していた。事実、プレミアリーグではJリーグクラブユース勢を次々と破り、夏の全国大会でも準優勝するなど強さを発揮。その3年生たちが卒業したことで、戦力面で不安視される部分もあるが、スピード感溢れるサッカーは本格的にシーズンの始まる春までにはしっかりと形になりそうだ。

　1月中旬の取材日は本田監督の「パスが弱い!　もっと強く!」「速いプレーやらないと頭の回転速くならないよ」「球際弱いヤツはいらないよ」という厳しい言葉を背に、練習開始直後のパス練習から狭いフィールドの中での7対7まで1タッチ、2タッチのパスを驚くようなスピードで通すトレーニングを繰り返していた。また着用した選手たちが「暖かかったし、動きやすかった」と口を揃えたadidas社の“ガチな練習着”rengiがより思い切ったプレーを可能にし、球際で鋭いプレーを連発させる。初めて2年生と1年生のメンバーを組み合わせたという紅白戦ではまだトレーニングでやっていることが出せず、逆に指揮官の前でアピールを目指すBチームの選手たちがいきいきとしたプレー。サイド攻撃からのシュート練習で突然BチームからAチームに呼ばれた選手がそのまま紅白戦に出場するなど、「日本一激しいメンバー争い」がかいま見られた。

　指揮官の「進化するために攻撃的にやりたい」という言葉の下、今年もポゼッションの部分には高い目標値を設定して取り組んでいく。そして東京五輪世代のMF菅原俊平が「例えは良くないですけど、相手を自分たちが自信をつけるための食べ物にしなくちゃいけないというか。例えばどこかのチームとやった時に、相手が自信をつけたらいけないんですよ。『もう2度と流経とはやりたくない』『噂では聞いていたけれど、こんなに強いのか』と。『オレたちの努力何なの?』と思わせるくらいの試合をしなければいけない。だから試合では闘争心むき出しでやっている」というように、試合では相手に圧倒的な力の差を見せるつもりだ。

　その高い目標を実現させてくれそうな個性のある選手たちが揃っている。長身の点取り屋、FW高澤優也や昨年のチームでレギュラーCBを務めていた俊足の左SB小川諒也、練習から高い技術を見せている相澤、FW伴恭輔、MF久保和己ら経験値の高い選手たちがおり、またアトレティコ・マドリーの育成組織出身のFW宮川類、ドイツ・マインツユースから家族とともに帰国し、流経大柏に編入してきた俊足FW高橋万覇人、昨年の主力FWジャーメイン良の実弟、FWジャーメインアレックス正といった“異質”で楽しみな存在たちにも注目だ。リーダー格のひとりである小川は「(冬場の試合で相手は)流経戦は『日本一のチームとやる』というような感じで来ていた。簡単には負けちゃいけないし、気迫のない、だらしない試合はできない。プレッシャーはだいぶあるし、どこのチームも研究してくると思うんですけど、その中でも勝てるチームにしていかなければいけない」と言い切った。

「流経は負けてはいけない」という決意。高校サッカー界を代表する名門校はadidasのフットボールスパイク『サンバ コレクション』シリーズに支えられて新シーズンへ臨む。日本で開発され、世界へ発信された一足、これまでのスパイクにないフィット感が絶賛されている「パティーク 11 プロ」、各カテゴリーのスピードスターたちが着用するadidas史上最軽量の高速スパイク「アディゼロ F50」、ボールコントロールで圧倒的な違いを生み出す「必殺5ゾーン」を持つ「プレデター リーサルゾーン」、運動量やハードなプレーでチームを助けるダイナモタイプの選手たちへ向けられた「ナイトロチャージ」。攻守両面においてコンマ数秒を削り取るようなサッカーを展開する日本一軍団の足元を速さ、正確さ、強さ、フィット感でそれぞれ違いを生み出す『サンバ コレクション』が支え、勝利に導くはずだ。高澤は「自分たちは日本一になった先輩たちの姿を見てきた。ミーティングとかでも『日本一』と声を掛け合ったりしています。今年は去年出られなかった冬の全国大会とインターハイ、もちろんプレミアもですけど、3冠狙っていきたいですね」。「チームの武器はキミの個性だ」をコンセプトに4つのプレーヤータイプに合わせて準備された『サンバ コレクション』シリーズがそれぞれの個性を引き出し、流経大柏を今年も日本一に導く。

★関連ニュースはアディダス マガジンでチェック

(取材・文　吉田太郎)