beacon

野人GM岡野「鳥取を1年でJ2に戻す!」

このエントリーをはてなブックマークに追加

 昨季限りで現役を引退し、今季からJ3ガイナーレ鳥取のGMに就任した元日本代表FW岡野雅行が、29日に行われたJ3リーグ記者会見に出席。今季の目標を「1年でJ2に上がること」と明言した。

「去年、J2から降格したが、1年で戻れなければ難しくなると思っている。自分は選手をやめたばかり。体を使って、鳥取に良いものをもたらしたいし、選手にも自分たちの力でJ2に戻るんだと言っている」。41歳の野人GMは強い意気込みを示した。

 GMとしての初仕事は、昨年末に行った松波正信氏(元G大阪監督)を監督に迎えるための交渉だった。「お互いのサッカー観を知っている間柄」(岡野GM)だったため、話はとんとん拍子にまとまり、わずか1日で交渉が成立した。

 ところがその後は厳しい現実にも直面した。J2からJ3に降格したことによるスポンサー離れ。浦和時代の同期である山田暢久の獲得にも乗り出したが、J3ということがネックになり、呼び寄せることはできなかった。「J3というカテゴリーに落ちたのが響いた。ヤマにはプライドがある。悩んでいたが、獲得はかなわなかった。結局、僕ら2人は引退も同じ年ということになった」。

 だが、もともと「経営者・社長になりたい」という野望を持つ岡野に、くよくよしている時間はない。年が明けると連日の挨拶回りで1日100枚以上の名刺を配り歩いた。「岡野だ」と言ってもらえるよう、ロン毛時代の趣を残しつつ、太らないように体形維持にも気を配った。

「正月明けの3日から分刻みで動いている。忙しくて食べる時間がないので、むしろ痩せたくらい。とにかくガイナーレを多くの人に知ってもらいたい」とやる気にあふれている。

 戦力面では松波監督の希望通り、甲府や京都、徳島などでプレーしたベテランのMF倉貫一毅を獲得し、スタートダッシュをする手はずを整えている。夏場にはさらなる戦力補強を行う青写真もある。

 注目されるJリーグU-22選抜との戦いについては「戦力が読めない難しさがあるし、松波監督も難しい相手になると言っていたが、鳥取として恥のない戦いをしなくてはいけない。それに、若手はうちにもいる。自分もいるんだということをアピールしてもらいたい」と力を込めて言った。

 Jリーグ開幕から21年。初期のJリーグを彩った男たちは今、ある者は指導者になり、ある者は経営者となってJの舞台で活躍を続ける。そんな時代が本当に訪れると想像した人は、20年前に何人いただろう。

「Jを目指すクラブが増えているし、地方でのサッカーの盛り上がりが以前とは違う。全都道府県に一つずつJチームがあるといい」

 鳥取という日本で最も人口の少ない県ででっかい夢を開かせる。まずは1年でJ2復帰を。岡野の目には野人の輝きがある。

(取材・文 矢内由美子)

TOP