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[東京都クラブユース(U-17)選手権]F東京U-18が東京Vユースとのライバル対決を4-2で制す!!

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[2.2 東京都クラブユース(U-17)選手権決勝リーグ 東京Vユース2-4F東京U-18 ヴェルディG]

 平成25年度第15回東京都クラブユースサッカー(U-17)選手権大会は2日、決勝リーグAブロックの東京ヴェルディユース対FC東京U-18戦を行い、F東京が4-2で勝った。3戦全勝でブロック1位を決めたF東京は、決勝でBブロック1位の三菱養和SCユースと戦う。

 新シーズンの本格的な開幕を前に実現した公式戦でのライバル対決。F東京の佐藤一樹監督が「(現在は)チームビルディングにエネルギーを置いているので、相手がヴェルディだとかということは意識させないで、自分たちがもっともっと積み上げていかなければならないものに対して、どれだけチャレンジできるかというところだった」と語れば、東京Vの冨樫剛一監督も「彼らには『きょう東京戦だから、いつもよりも』とか、『きょう東京戦だから、頑張ろう』というところに落とし穴があるんじゃないか。もちろん負けてはいけない相手だと思うけれど、だから力を出すみたいなスタンスがチームとして、個人として落とし穴になるんじゃないかと話をして、トレーニングの積み重ねが出せるようにゲームに入ろうという話をしました」と説明する。互いに対F東京、対東京Vを過剰に意識するのではなく、目の前の一戦でトレーニングの成果を出すことに集中。ただサポーターのコールが会場に響き渡る中、両チームのテンションは自ずと上がっていった。技術の高いを備えた選手たちが繰り広げる激しい攻防戦は、昨年からの主力が並ぶF東京が常に先手を取り続ける展開。「(力を)全く出せなかった。走り負けている部分とか、ボールを動かさないといけないのに人が動けていなかったりだったので、彼らのいい部分を引き出せなかったのが自分としては悔いが残っています」(冨樫監督)という東京VをF東京が上回った。

 スコアを先に動かしたのはFW佐々木渉とDF大西拓真(ともに2年)という攻守の軸がトップチームの香港遠征帯同のため不在のF東京だった。前半11分、MF長澤皓祐(2年)の右FKをファーサイドのFW大熊健太(1年)が頭でゴールヘ突き刺して先制ゴール。大宮アルディージャの大熊清監督を父に持つFWのゴールでアドバンテージを握ったF東京は、15分にも追加点を奪う。右サイドのSB相原克哉(1年)を起点にショートパスをつなぐと、最後はMF蓮川雄大(2年)の絶妙なラストパスをフリーで受けた長澤がゴール右隅へ決めて2-0とした。

 F東京は90分間を通して攻守両面でボールに絡み続けたMF安部柊斗(1年)とMF高橋宏季(2年)のダブルボランチや中央で大車輪の動きを見せる長澤らが出足の速い守備で間合いを詰めて相手ボールを足に当てると、攻撃面でも少ないタッチのパスワークで前線へボールを運んでいく。そしてアタッキングサードの攻撃に精度とアイディアがあり、2点リードへと結びつけた。対する東京Vは冨樫監督が「(今年のチームの特長は)みんな献身的にやるし、頑張りがずっと続くところが良かったところだったけれど、そこがきょう全く出せなかった」という内容。ただ、新生東京Vの10番を背負うMF中野雅臣(2年)と湘南DF三竿雄斗を兄に持つMF三竿健斗(2年)のU-17W杯日本代表ボランチコンビから、2失点目直後に選手の並びを代えて中野を前線へ移した東京Vはボールが動き出すとともに追撃ゴールも奪う。

 前半29分、左中間でFKを獲得すると、FW神谷優太(1年)が放った右足FKは壁に当たっても威力が衰えずにそのままゴール右隅へ突き刺さった。国体東京都選抜のエースとしてチームを日本一へ導いたスコアラーのゴールで1点差。両翼が左右のタッチラインいっぱいに幅をとり、横の揺さぶりから三竿やボランチへ移ったMF冨樫凌央(1年)がくさびへの縦パスを狙う東京Vは、慌てることなくボールを動かして同点を目指していく。

 ただ先に次の1点を奪ったのはF東京だった。前半43分、中盤で長澤がインターセプトすると、強力ドリブラー、蓮川が左サイドの豪快なドリブル突破。相手DFがマークについていたが、それでも迷うことなくPAへ切れ込んだ蓮川をDFがファウルで倒して主審はPKスポットを指さした。キッカーの蓮川の右足シュートはクロスバーを直撃したが、跳ね返りを安部が右足でゴールへねじ込んで再びリードを2点とした。

 東京Vは後半、中央へポジションを移したMF田代蓮太(2年)がスペースへ出したボールに交代出場のMF安在達弥(2年)がトップスピードで反応。最後はこぼれ球を神谷が押し込んで再び1点差に迫った。F東京も相手にとって怖い存在となっていた蓮川がヘディングシュートと、再び見せた左サイドでの快走からのシュートで突き放しにかかる。東京VもFW室町仁紀(2年)が決定的なヘディングシュートを放ったほか、三竿が攻撃の起点としてボールを振り分け、田代が相手のボランチの背後を巧みに突くなどF東京にプレッシャーをかけていく。

 その中で勝敗を分ける1点を奪ったのはまたしてもF東京だった。後半16分、右中間でボールを収めた大熊が、逆サイドを走る長澤の前方へボールを落とすと、長澤がPAまで運んでから左足シュート。これがゴールを破って4-2となった。F東京はこの後も、CB渡邉拓哉(1年)が決定的なヘディングシュートを放ち、FW佐藤亮(1年)の左足FKがクロスバーを叩く。対する東京Vは室町とのコンビから中野が放った左足シュートなどで反撃すると、終盤は昨年の各種大会で得失点差に泣いた経験から、強引に1点を奪う試みをテスト。前線に長身のDF勝呂智哉(2年)とFW郡大夢(1年)を並べてパワープレーで追撃ゴールを狙った。

 だが、F東京はゲーム主将を務めたCB高田誠也(2年)中心にこれ以上の得点を許さずに試合終了。F東京の長澤は「(今年は)取れるタイトルは全部取っていきたいですし、練習から結構激しくて、雰囲気があるんで、今後も継続していければ(結果は)ついてくると思っている。みんなスタメン目指して頑張っているし、自分らもスタメンだからいいやとはならないで、いつ取られても分からないという危機感を持ってやっています。ここ最近新人戦で優勝できていない。決勝すら行けていなかったので、まず決勝への切符を手に入れることができたので良かったです」と喜んだ。

 そして佐藤監督は「勝ち負けにはこだわれというところと、球際のところは言ってきた。一体感もきょうはあったと思います。クオリティとかやりたいサッカーの部分ではまだまだ粗さがありますけれど、相手のおかげで自分たちの次にチャレンジできることもあったかなと思います」。普段のトレーニングから「負けたり、逃げたりしたら凄い言われます」(長澤)という意識の高い日々を送ることができているF東京。ブレずに自分たちのやるべきことをやりきったこの日のダービーでの熱闘、そして勝利からまた次の高い目標を設定し、新たな結果を変わらぬ意識で追い求めることができそうだ。

[写真]後半16分、F東京U-18は長澤がこの日2点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)

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