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東北高校新人大会、震災後初開催も雪で準決勝・決勝中止に

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 2月8日、「第13回東北高校新人サッカー選手権大会」が七ヶ浜サッカースタジアムならびに松島フットボールセンター人工芝グラウンド(ともに宮城)にて行われた。

 この大会は東北6県の高体連新人大会で上位となったチームが集まり、トーナメント形式で行われる大会だ。11年の東日本大震災前までは毎年Jヴィレッジを会場として、1月末もしくは2月上旬に行われていた。東北地方は降雪の影響で試合を行えない地域も多いこの時期、強豪校が一堂に会し、公式戦を行えるのは非常に貴重な機会だった。

 しかし震災後はJヴィレッジが会場として使えず、各学校とも開催の体制が整わず、一昨年、昨年は大会の開催が見送られていた。今年は参加チームを8チームに絞り(震災前は16チームで行われていた)、宮城県に会場を移し、復活開催が実現した。震災からもうすぐ3年。新人大会を開催できたことは、また一つ復興が進んだ証と言って良いだろう。

 8日、七ヶ浜サッカースタジアムでは1回戦2試合が行われた。第1試合は盛岡商(岩手)対尚志(福島)。共に昨年から公式戦出場を重ねた2年生が残り、今年の躍進が期待されているチーム同士の好カードとなった。立ち上がりは盛岡商がサイド攻撃、カウンター攻撃でチャンスを作っていたが、徐々に尚志がボールを支配し、ショートパスで相手を崩し始めた。そして29分、DF松葉知己(2年)のクロスから飛び込んできたFW小野寬之(2年)がゴールを決め尚志が先制。さらに前半アディショナルタイムの36分には小野のポストプレーから、MF鈴木大(2年)がゴールを決めて2-0で前半を終了した。後半は徐々に盛岡商も反撃に転じ、エースFW根子裕将(2年)や攻守の要・MF吉田廉(2年)、右サイドのアタッカー工藤大輝(2年)らがゴールを狙ったが、いずれも得点にはつながらず、2-0で尚志が勝利した。

 第2試合の東北(宮城)対青森山田(青森)戦が始まる頃にはすっかりピッチは雪に覆われ、吹雪の中の雪上サッカーとなった。東北は昨季の高校選手権から採用した4-3-3システムで試合に臨み、自慢の堅守を見せたかったが、雪上でのボールコントロールは青森山田の方が上手で、青森山田が前半から多くの決定機を作った。9分にはMF霞恵介(2年)の縦パスを受けたFW松木駿之介(2年)がシュートを決めて先制。その後前半は東北GK石垣譲一(2年)のファインセーブもあって1-0で終えたが、後半雪がさらに強くなると、東北はゴール前でボールを見失う場面が多くなり、3分、ゴール前の混戦から青森山田・霞が抜け出しゴールを決めて2点目を奪う。14分にはDFのクリアボールを拾った松木がこの日2点目となるゴールを決めて3-0。さらに21分にはCKのこぼれ球をDF菊池流帆(2年)が押し込み4点目を決めると、30分にはFW丹代藍人(2年)のクロスから途中出場のFW田中優勢(1年)がゴールを決めて5点目。雪慣れしていた青森山田が5-0で快勝した。

 その他、松島フットボールセンター人工芝グラウンドで行われた2試合の結果だが、第1試合は仙台育英が八戸学院光星に4-0で勝利。第2試合は秋田商が4-1で羽黒に勝利した。

 1回戦終了後、激しい雪になったことからその後の試合開催について検討された。当初は2月9日は試合を行わず、2月10日に準決勝仙台育英-尚志、秋田商-青森山田の2試合を行い、決勝を中止して2校優勝とすることが決定していた。ところが一夜明け2月9日の朝には宮城県平野部でも積雪が35cmとなった。宮城県では30cmを超える積雪はほとんどなく、異例の積雪であったことから除雪を断念。準決勝も中止となり、仙台育英、尚志、秋田商、青森山田の4校優勝で大会は幕を閉じた。

 震災復興を印象づける大会開催となるはずだったが、記録的な大雪によって、1回戦のみの開催に終わってしまった。盛岡商の太田浩史監督は「震災後なかなかやれなかったが、選手権後の良い形の目標になった。この時期こうやって試合ができるのは良かった」、東北の小野弘信監督も「震災後こういうことができるというのは、被災地への明るいニュースになるし、宮城以北雪で試合ができない地域の高校生にも新春のスタートのきっかけになってくれれば。大会を開催できたのは明るい材料」とこの大会が行えたことを喜んでいただけに、来年こそは無事最後まで大会が行われることを願いたい。

[写真]雪の中で行われた青森山田対東北戦
 
(取材・文 小林健志)

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