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新チームも「強い」プレミアリーグ王者・流経大柏、四中工に6発勝利

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[2.23 ジャパンユーススーパーリーグ 流通経済大柏高6-2四日市中央工高 流通経済大柏高G]

 13年の高円宮杯プレミアリーグチャンピオンシップで日本一に輝いた流通経済大柏高(千葉)と全国高校選手権4強の四日市中央工高(三重)が23日、「ジャパンユースサッカースーパーリーグ」Cグループで対戦し、流経大柏が6-2で快勝した。

 プレミアリーグチャンピオンは「今年も強い」。4月の本格シーズン開幕までまだ1か月以上の期間があるが、その強さを十分に印象づける80分間だった。新主将の左SB中田永一(2年)や日本高校選抜のMF森島司、FW小林颯(ともに1年)ら選手権4強メンバーが先発した四中工に対し、流経大柏は立ち上がりから相手を押し込んで攻め続けていく。

 前半、プレッシャーのかけ方が曖昧だった四中工をスピードのあるパスと展開力で相手コートに押し込み、また球際で非常に強い流経大柏は五分五分のボールをことごとく自らへ転がしていた。そして個々も力を発揮する。ゲーム主将を務める司令塔・MF相澤祥太(2年)がプレッシャーを全く感じていないかのようなボールコントロールからパスをつなげば、スムーズな連係を見せていた左MF新垣貴之とFW高澤優也(ともに2年)のコンビがチャンスを演出。そして左SB小川諒也(2年)がスピードに乗ったオーバーラップで左サイドを攻略する。前半11分には左サイドを縦にえぐった小川の折り返しをMF久保和己(2年)が決定的なシュート。これはDF中田の好守に阻まれて得点することができなかったが、流経大柏は守備面でも出足と予測が速さを存分に発揮し、徹底してつないでくる相手のボールを次々とインターセプトした。

「流経のパスはゾーンをひとつ越えられるようなパススピードと位置で受けている。(一方で)ウチはモロにプレッシャーを受けるようなポジションで緩いパスを受けている」と四中工・樋口士郎監督は比較していたが、このパススピード、ポジショニングの精度など攻守両面で相手との差をつくっていた流経大柏は前半終盤の連続ゴールであっという間に相手を突き放した。

 28分、流経大柏は相澤とのワンツーで中央へ切れ込んだ小川のラストパスから高澤が左足で先制ゴール。さらに32分には左オープンスペースを突いた小川のラストパスをFW木村稜斗(1年)が決めてリードを広げる。四中工も37分に短いパスをつないでチャンスをつくり、最後は森島からのパスを受けたMF木下史也(1年)が決定的な左足シュート。だが、これをDFの好守で阻んだ流経大柏は39分、新垣が左サイドを突破し、そのラストパスを久保が決めて3-0で前半を折り返した。

 一方の四中工も後半3分、木下の右CKをCB舘和希(3年)が素晴らしい跳躍から頭で合わせて追撃ゴール。さらに8分にも再び木下の右CKをファーサイドの舘和が打点の高いヘディングシュートで決めて1点差へ詰め寄る。流経大柏は前日の22日に中京大中京高(愛知)と対戦して6-2で勝利していたが、4-0で折り返した後半に2失点していた。この日もリードした後半に2点を奪われたことについて相澤は「昨日も中京大中京とやって(1月の対戦で敗れた)リベンジマッチだったんですけど、前半上手く4点取れて気が抜けたというか、後半に2失点してしまった。それがきょう課題だったんですけど、セットプレーから同じ形でやられてしまった」と反省。それでも最近、アタッカー陣が好調だという流経大柏は、10分に久保のラストパスのこぼれ球を新垣を押し込んで4-2とする。

 後半は四中工が4-4-2システムのラインを全体的に下げたことで守備が安定。森島のゲームメークから小林や木下が仕掛け、右の近藤宏樹(2年)、左の中田の両SBが攻撃参加する回数も増加した。身体能力の高い舘和、舘幸希(1年)の兄弟CBコンビも奮闘して流経大柏に食い下がる。だが、流経大柏はDFラインにまで下がって攻撃を落ち着かせる相澤が相手に流れを与えず、28分には新垣とのワンツーで左サイドを打開した高澤が左足シュートを決めて5-2。41分にも高澤からのラストパスを受けた久保が右サイドから鮮やかな右足シュートを決めて6-2で勝利した。

「(どれくらい通用するのか)流経戦を楽しみにして来たんですよ」という四中工の樋口監督。小林と森島を中心とした攻撃や向上した後半の守備など戦えていた部分もあったが、「上手さの中に厳しさがある。(相手の守備は)スペースを与えてくれないし、時間を与えてくれない」と流経大柏の強さを実感していた。プレミアリーグを制した昨年に続き、今年も流経大柏は全国のライバルたちのターゲットのひとつになりそうだ。現在、練習でのゲーム、対外試合でもパス本数を数える取り組みを行っている流経大柏の本田監督は「とにかく今は奪ったボールを取られないように。ミスしないようにしている。(その中で)コンパクトにさせているので、ボールを触る回数とか数が目安になることが多いんですよ。(選手間が)広くなればつながらないし、相手にボールが渡ってしまうと減っちゃう。各自がボールを大事にすることを意識してほしいので、そういう形でスタートしている」という。トレーニングでは受け手に対して思い切りぶつけるかのような鋭いパスも要求しながら、パススピードと1タッチの技術向上の取り組んでいるが、効果は試合でも出てきている印象だ。

 MF青木亮太(現名古屋)やMF小泉慶(現新潟)を擁し「最強世代」と評された昨年ほどの個がないことを選手たちは自覚している。指揮官も「(プレミアリーグは)残留を目指しますよ」と微笑むが、それでも個々のレベルが高く、チームとしても強い。今年も彼らが対戦相手の脅威になることは間違いなさそうだ。

[写真]前半28分、流経大柏はFW高澤が左足で先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)

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