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値千金のゴールを挙げた広島DF塩谷「運が良かっただけ」

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[3.1 J1第1節 C大阪 0-1 広島 ヤンマー]

 リーグ屈指のタレントを抱えるセレッソ大阪の攻撃に対応しながら、冷静に戦況を分析していた。後半26分、サンフレッチェ広島のMF野津田岳人からのパスを受けたMF石原直樹がドリブルでPA内に侵入すると、中央に駆け上がってきたのはDF塩谷司だった。石原の折り返しを塩谷が左足で捉え、C大阪ゴールに突き刺した。

 この試合、唯一の得点を振り返り、塩谷は「ゴールは運が良かっただけです」と謙遜する。一方、このゴールをアシストした石原は「良いゴールだったと思う」と言い、中央に誰が走り込んでいたかは、わかっていなかったことを明かした。

「中が見えていたわけじゃなくて、タイミングで上げました。野津田からボールを受けたときは、自分でシュートを打ちたかったけど、難しかった。切り込んで、折り返せばチャンスがあると思っていました。DFに体を寄せられたときも倒れなかったことが、ゴールに繋がったと思う」

 セットプレー崩れでもない状況で、なぜ、塩谷はPA内に走り込んでいたのか。

「あの時間は、(DFが)前に出るスペースがありました。飛び出して、前に人数をかければ、チャンスがあると思って攻め上がりました。もし、そこでボールを奪われても、僕が戻ればいいだけなので(笑)。僕が攻め上がれば、相手DFも混乱するだろうし、あのゴールは結果的に自分のゴールになっただけです」

 無駄走りになることをいとわずに、攻め込んだことが奏功したのだろうか。塩谷はフィニッシュの場面も、落ち着いていたという。「夢中で上がって行きましたが、ゴールの右隅だけが見えていたんです。そこに流し込むだけでした」。

「今日は点を取った以外はダメでした」と厳しく自分を評価する塩谷は、「パスミスも多かったし、DFも、もっとうまくやれたと思う。結果が出たのは良かったけど、プレーの質にもっとこだわりたい」と、続けた。どこまでも謙虚なDFは、自身のレベルアップにどこまでもどん欲なのだ。

(取材・文 河合拓)

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