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「NIKE CHANCE」HCが「ナイキアカデミーに日本人が入ってもいい」と評価の日本人2選手、大成高DF楠本はミスも声と守備力で存在感

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 世界規模のスカウトプロジェクト「NIKE CHANCE」は7日から9日までかけてイングランド代表の本拠地、セント・ジョージズ・パークで最終選考会に当たる「グローバルセレクション」を開催中。ブラジル、スペイン、ドイツ、フランスなど世界33か国から集まった44選手が勝者に与えられるナイキアカデミー(イングランド)入りをかけてアピール合戦を繰り広げている。

 2日目の8日は午前に7対7などを行い、午後は44選手を3チームに分けて11対11(各チーム20分×2)を実施した。国内セレクションを突破して日本代表として「グローバルセレクション」に参戦しているDF楠本卓海(大成高→東京国際大)は1本目は「(サッカー人生で)初めて」という右SBで先発して10分からは本職のCBとしてプレー。2本目は20分間CBとして奮闘した。

 1本目は20分間を無失点。楠本自身、持ち味の対人の強さを発揮するまで至らないほど相手に攻めさせなかった。ただ、2本目は開始早々に相手の左クロスをダイレクトでクリアしようとしたが、キックミス。これが痛恨のオウンゴールとなり、相手に先制点を与えてしまう。

 それでも「ミスしてしまったことは仕方ないので、次からは切り替えました」と楠本。午前中の7対7からよく声が出ている印象だったが、11対11でも誰より声を出していたのは楠本だった。英語でコーチングという概念は捨てて、とにかく日本語でも積極的に声を出しまくる。「潰せ!」「来い!」や「ゴー! 行け!」と言っていた指示が周囲にどれほど伝わっていたかは本人も分からないというが、ジェスチャーを交ええてコミュニケーションを取り、「意識していた」という声でチームのリーダーシップを取り続けていた。結局、チームは終盤の2ゴールで逆転勝ち。声で存在感を発揮した楠本は1対1で仕掛けられたシーンが2度ほどあったが、得意の対人では相手を抜かせずに勝利に貢献した。

 その楠本について、ナイキアカデミーのジミー・ギリガンヘッドコーチも8日に「いい感じで頑張っているのが見えている」と評価。ギリガンヘッドコーチは同じく「グローバルセレクション」に参加しているFW瀧本高志(履正社高)含めて「(レベル的には)アカデミーに日本人が入ってもいいんじゃないかなと思っています」と日本人選手が「NIKE CHANCE」で合格し、初めてナイキアカデミー入りする可能性を認めていた。
 
 今回セント・ジョージズ・パークで行われるセレクションはあと1日だけ。勝者(人数は現時点では未定)に選ばれて最長8月末までナイキアカデミー入りするチャンスを掴むことができるか。そしてナイキアカデミーを経て欧州でプロ契約を結んだ選手たちのようになれるか。ギリガンヘッドコーチは今回の参加選手たちに期待することについて「それぞれのポジションでの役割をしっかりと果たせるか。それをしっかりと(選考役の)自分に見せてくれるか。GKだったらチームの指揮を取れるかとか、MFだったら遠くを見渡せてパスを出せるかとか、それぞれの位置での役割を果たせるか期待しています」とコメント。楠本はグローバルセレクション突破へのカギについて「CBでしちゃいけないミスとか、負けちゃいけないところとかだと思います。ボール来たら潰して、来なかったら声出して自分の存在感を出していきたい」と語った。この日のミスややや消極的だったフィードの反省を最終日に活かし、DFとしてさらなるアピールをして、ナイキアカデミー入りと欧州でプロになるチャンスを掴む。

(取材・文 吉田太郎)

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