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イングランド代表本拠地での「NIKE CHANCE」最終セレクション、強さと技術発揮の履正社FW瀧本「明日は点を取る」

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 世界で戦える若きフットボーラーを発掘する世界規模のスカウトプロジェクト「NIKE CHANCE」の最終選考会「グローバルセレクション」は8日午後、参加44選手を3チームに分けて11対11を行った。

 イングランド代表の本拠地であるセント・ジョージズ・パークでのプレーも2日目。この日は穏やかな天候で、前日に比べて寒さも和らいだ。FW瀧本高志(履正社高)は「この施設は世界トップクラスだと思うけれど、そういうところでやれているのはいい経験になる」と充実した施設でプレーできている喜びを語っていたが、その中で開催されている「グローバルセレクション」もいよいよフルコートでの11対11を実施。各チーム20分2本を行ったが、瀧本は1本目が10分からFWで交代出場し、2本目は2トップの一角として20分間プレーした。

 室内ピッチで7対7などを行った午前練習後に「大コートのゲームでドリブルとか見てもらいたいです。大コートで自分のストロングポイント出していきたい」と意気込んでいた瀧本は1本目、左サイドから果敢な仕掛けを繰り返す。ただ粘土質で重いピッチも影響したか、なかなかスピードに乗ることができず、持ち味のドリブルでDFを置き去りにするような突破をすることができない。ボールのないところなどで執拗にユニフォームを引っ張ってきたりするDFとの駆け引きでも後手となった。

 ただし、2本目は「2本目は結構足元でもらってからのつなぎを意識していた。落として次出してくれることを想定していたんですけど、(瀧本からのパスの受け手が)次にちゃう方向に振っていたので(いい形のラストパスが)来なかった。でも、自分的には良かった」と納得のいく20分間となった。ポストプレーについてはほぼパーフェクト。182cmの瀧本以上に大柄なDFを背負いながらも1タッチで前向きの選手の足元へ正確にボールを落としたり、ワンツーを通したり、今回のFW陣ではトップクラスと言えるほどの技術を見せていく。

 ただし、せっかくいい形でポストプレーをしても、次のパスが出てこない。チームメートの中盤の選手がミスを多発していたこと、加えて彼らがPA近くでシュートを優先していたことも原因だった。チームは0-1の17分にFWガブリエル・バウティスタ(メキシコ)、19分にはMFディーラン・ボーンズ(ニュージーランド)がいずれも強引な仕掛けからゴールして逆転勝利。特に決勝点のシーンで瀧本は右前方でマークを外して声とジェスチャーでボールを要求しているにも関わらず、ボーンズは強引に右足シュートへ持ち込んでゴールを決めた。瀧本は「ボクはシュートがない。(その中で)ほかのヤツらは自分の良さを出している。2点目なんか、ボクはフリーやったのに、(ボーンズが強引に仕掛けて)決めたんでああいうのを見習っていってもいいかなと思う。明日は点を取ることが目標。どんどん積極的にやっていきたい」と、最終日へ向けてより強引なプレーも狙っていくことを誓っていた。

 持ち味のスピードを活かしたドリブルはまだ発揮できていない。ただ非常に安定していたポストプレーに加えて「当たりのところは結構負けんのも覚悟しつつやりました。ああいう対人のところでやりきったところはある」と振り返る局面での競り合いでは、イギリス人の長身DFアイデン・オースティンに力勝負を挑んでねじ伏せるなど見せ場もつくった。あとはより積極的なプレー、そしてゴール。この日の夜にはアストン・ビラ(イングランド)で活躍中のベルギー代表FWクリスティアン・ベンテケがセント・ジョージズ・パークを訪れて交流し、同じFWとして刺激を受けた。セレクションは残り1日。これまでと選考方法が変わり、今回「グローバルセレクション」で勝者となれば、欧州プロを生み出しているナイキアカデミー入りを果たすことができる。“日本代表”として「NIKE CHANCE」に臨んでいるストライカーは最終日、全力で最後のアピールをする。

(取材・文 吉田太郎)

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