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海外移籍断念、王者へ移籍の長野FW高橋「力を試したかった」

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[3.9 J3第1節 長野1-0福島 味フィ西]

 今季からAC長野パルセイロに加入した点取り屋が、チームのJ3初ゴールを記録した。前半17分、MF向慎一のスルーパスから最終ラインの裏に抜け出したFW高橋駿太は落ち着いて右足で流し込み、自身の移籍後初ゴールに喜びを爆発させた。

「ゴールという結果だけを目指して頑張ってきて、開幕戦でゴールを決めて勝てたのは本当に良かった」と語った。だが、自身が得点できたのもチームメイトの良いパスがあったからだと振り返っている。「慎くん(向)に『どんどん裏に抜けるから見ててほしい』と話をしていました。良いボールが出てきたので、あとは決めるだけでした」。チームに加入したばかりだが、開幕までに自らの持ち味をしっかりと把握してもらっているからこそ生まれたゴールだった。

 高橋のスピードが生きたのはゴールの場面だけではない。最終ラインから細かくパスをつなぐ長野は、ピッチの幅を大きく使って相手を左右に揺さ振りながらゴールに迫っていく。足下でのパスが多くなりがちかと思いきや、裏に抜ける高橋の動きがアクセントとなり、攻撃に縦の変化を加えていた。2トップを組むFW宇野沢祐次も「裏へのスピードは良いものがあるし、1本のパスを得点に結び付けてくれるので攻撃のバリエーションは増える」と新相棒の働きに賛辞を贈った。

 12年のJFLで20ゴールを挙げて得点王に輝いたように、JFLを代表するストライカーだった高橋は、12年シーズン終了後に海外移籍も視野に入れていた。しかし、「話がまとまらずにうまくいかないこともあり、日本でプレーした方がリスクが低いと思い帰国を決意しました」と語ったように、海外移籍は実現しなかった。ただ3週間ほど海外でのプレーを経験したことで「刺激にもなったし、良い経験だった」とプラスに捉えている。

 昨季のJFL王者である長野への移籍も「少し環境を変えたかった部分もあります。それにJFLを圧倒的な成績で優勝した長野で自分の力がどれだけ通用するか試したかったし、楽しみだった」と自身のステップアップのための移籍だと語った。07年から2年間在籍した山形では試合に出場することができず、海外でのプレーも断念したストライカーは新天地での開幕戦で十分な手応えをつかんだようだ。「チームのためにどんどん結果を残していき、リーグ制覇、そしてJ2昇格に貢献したい」と決意を力強く語った。

(取材・文 折戸岳彦)

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