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初めて開いたJ2への道、長野MF有永「自力でつかむ」

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[3.9 J3第1節 長野1-0福島 味フィ西]

 AC長野パルセイロの代名詞とも言えるのがパスサッカー。その中枢を担うのが、ボランチのMF有永一生だ。チームメイトが相手選手からボールを奪うと、すぐさまポジションを移動してボールを引き出して正確なキックで攻撃にリズムを生み出す。前半17分に生まれた決勝点も有永からMF向慎一を経由して、最後はFW高橋駿太が決めたもの。在籍4年目を迎えた25歳は、初のJの舞台で自身の存在価値を改めて証明した。

 だが試合後には開口一番、課題を語った。「今日は全然ダメでした。守備では相手をはめ切れず、攻撃でも単純なパスミスや前線への配球もできていなかった。そこの精度を上げていかないとゴールにつながらない」と自身のパフォーマンスには納得いかない表情を見せた。それだけ、ボランチでのプレーにはこだわりを持っている。

 現在はピッチの至るところに顔を出して攻撃のタクトを振るう有永だが、一昨年までは主に右SBでプレーしていた。しかし、一昨年のシーズン終盤にボランチへコンバートされると一気に能力を開花させ、昨季は一年を通じてピッチに立ち続けた。それまでボランチの経験はなかったものの、プレーしていく内に自身の持ち味にマッチしていく感覚を味わったという。

「最初の内は戸惑いもありましたが、プレーしていく内に自分に合っているポジションだと感じた。上下動やクロスの質を求められるSBよりも、ボランチはポジショニングやトラップ、パスなど足下の技術を要求されることが多いと感じています。僕の持ち味はその部分なので、ボランチの方が生かせると思ってプレーしています」

 昨季の長野はJFLを制しながらもJ2規格のスタジアムがなく、J2昇格を果たせなかった。だが来季のシーズン開幕前には南長野運動公園総合陸上競技場の改修が終わる予定のため、J3で2位以内に入れば悲願のJ2昇格の可能性が広がってくる。J2昇格の可能性がない中でも有永は「1年間を通じて試合に出続けることが個人の成長につながると思うし、大事だと思っていました。やると決めた以上は置かれた状況で最高のパフォーマンスを見せたかった」と長野で試合に出続けることが、自身の成長につながると信じてプレーを続けてきた。

 だからこそ、自分たちの力でJ2昇格を手繰り寄せられる今季に対する思いは強い。「順位が良ければ自分たちの力で昇格の切符をつかむことができるシーズンなので、そこは意識してやっていきたい。個人的には良い準備をして一試合一試合を大切にして、シーズンの最後に順位表の一番上にいてJ2に昇格できるように1年間を戦っていきます」。プレーメーカーはチームにリズムをもたらし続け、悲願のJ2昇格の切符を奪いに行く。

(取材・文 折戸岳彦)

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