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J初得点を叩き込んだ東京V吉野「俺のゴール?」

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[3.16 J2第3節 東京V1-1千葉 味スタ]

 試合の均衡を破ったのは19歳の若武者だった。こう着した試合展開が続きスコアレスで折り返した試合となったが、後半8分に東京ヴェルディが先制点を奪う。左サイドで得たFKをDF安在和樹が左足で蹴り出すと、そのボールに合わせたのがDF吉野恭平だった。Jリーグ初ゴールを見事に記録したが、ゴール直後にはチームメイトに「俺のゴール?」と一度確認してからサポーターの下へと向かった。

「自分が触ってコースが変わったのは分かりましたがチラッと見たら誰かが触っている感じがして、俺のゴールじゃないのかなと思いました。ただ、皆が『お前のゴールだよ』と言ってくれて。味スタでゴールを決めてサポーターのところに駆け寄ることができて本当にうれしかった」

 だがJ初得点を喜んだ直後に「勝ち点3を取れなくて悔しかった」と口にすると、攻守において課題を語った。「守備の手応えは全然でした。ジョンピル(DF金鐘必)と声を掛け合えなくて、相手をフリーにした場面があった。それがたとえ1本であっても突き詰めてやっていかないといけません。攻撃の部分でも点を取った以外は納得できていませんし、今日は90分間走り切れなかった」。初ゴールのうれしさ以上に、同点に追い付かれたこと、そして自身のパフォーマンスに悔いが残ったように、19歳ながらもストイックな一面を覗かせた。

 今年の1月にはAFC U-22選手権に挑むU-21日本代表に選出され、ベスト8進出に貢献した。U-21代表ではボランチでもプレーしたが、東京VではCBとしてプレーしている。本人は「正直ボランチがやりたい気持ちはあります」と前置きしながらも、「CBの経験を積める貴重なチャンスだし、前向きに捉えています。CBとボランチを同じレベルでこなせるようになれば、自分のこれからの武器になる」と2つのポジションを極める決意を語った。

 そして、この日は16年に開催されるリオデジャネイロ五輪を目指すU-22代表の手倉森誠監督が視察していたこともあり、リオ五輪に対しても「自分の人生の中で大きな経験になると思うし、絶対に出ないといけない大会だと思っています」と熱い思いを示した。だが、その前にクラブで結果を残す必要がある。「ヴェルディは若い選手が多いチームなので試合を重ねるごとに自信がついてくると思うし、その中で自分がチームを動かしている姿をアピールしていきたい」とチームメイトとともに、さらなる飛躍を誓った。

(取材・文 折戸岳彦)
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