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[MOM985]米子北高FW定本佳樹(2年)_貫録示したエース

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.17 第6回中国高校新人大会決勝 米子北高1-1(PK5-3)広島皆実高 広島県総合グラウンドメインスタジアム]

 相手に主導権を握られる苦しい試合を物にしたのは絶対的なエースの一撃だった。広島皆実高に押し込まれる展開が続いた米子北高のチャンスメークは奪ってからのカウンターが主体。守備陣が粘り強く守り、運んだボールの目標地点となったのがFW定本佳樹(2年)だった。ボールを受けると、相手を背負いながら巧みに収め、君垣隆義、松本浩輝の両サイドハーフや2トップの相方である山崎敏也へと配球。カウンターの起点となっただけでなく、機を見ては自らドリブルで仕掛け、米子北の攻撃を牽引。後半18分には左サイドから入った君垣のクロスをバックヘッドで合わせて、先制点を奪うなど、10番を背負うエースとしての役目を全うした。

 昨年から「チームの中心。試合の変化をつけられるのはアイツくらい」と城市徳之監督から期待を寄せられ、10番を背負った。ポジションはボランチ。中盤の底から戦況を見極め、的確な予測を活かしたボール奪取から、正確な左足からの展開で米子北高の攻撃を司った。「万能な選手。CBをやれと言えば、難なくやれると思う」と指揮官が評したように、戦術理解度が高く、どのポジションでもこなせるのも彼の特徴。今季は持ち場をFWに移しているが、「本当はボランチかトップ下で使いたいけど、悩みながら今はとりあえず前で使っている。彼が中盤に入ればボールがさばけるけど、前線の迫力がなくなる。前線で格になる選手が出てきてほしい」(城市監督)とチーム事情によるもの。彼のポジション一つでチーム状況が大きく左右するほどの存在だ。

「今回もよく点を獲ってくれたし、機能もしていたんですけど、アイツだけになってしまうのが怖い。10番だけを何とか抑えておけばOKというサッカーになっても困るので、これからチーム全体の底上げが大事」。城市監督が口にする現在のチームの危機感からも彼への期待が伺える。

 今年の米子北は定本次第といっても過言ではない。背負うプレッシャーを打ち負かすことが出来るか、そして、本来のポジションである中盤でプレーすることが出来るか。米子北高の今年を左右する彼のプレーから目が離せない。

(取材・文 森田将義)

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