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[イギョラ杯]終盤に課題残すも強さ示して流経大柏に快勝!札幌U-18が7年ぶりV!

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[3.21 イギョラ杯決勝 札幌U-18 3-2流通経済大柏高 東京朝鮮高G]

 第24回2014国際親善ユースサッカー「イギョラカップ」は21日、東京朝鮮高グラウンドで決勝を行い、コンサドーレ札幌U-18(北海道)が流通経済大柏高(千葉)に3-2で勝利。07年大会以来となる優勝を果たした。

 高校年代最高峰のリーグ戦、プレミアリーグEASTの前哨戦。札幌U-18にとっては3連敗中だった流経大柏に強烈なリベンジとなった。大会最優秀選手に選出されたFW粟飯原尚平の先制ゴールと187cmFW平川元樹の豪快な2発で3点をリードし、その後もさらに突き放すチャンスをつくり出した。自陣でのミスから失点し、終盤は流経大柏の迫力ある攻撃の前に防戦一方となったが、1点リードを保って優勝。北海道は雪のため札幌U-18の各選手にとっては今大会が40日以上ぶりとなる屋外での試合だったが、その中で勝ち取ったタイトルに四方田修平監督は「決勝戦で相手も流経ということで一体感のあるゲーム、イギョラ杯の中で一番いいゲームができたかなと。ちょっとずつチームとしてもどうやって戦っていくのかとか、攻守のバランスとか出来上がってきたのが3日間の収穫ですね」と微笑んだ。

 もちろん本格シーズン突入前の段階でまだまだ突き詰めていかなければならない点は多い。ただ、風上だった前半、風下に移った後半も20分過ぎまでは流経大柏を圧倒するようなパフォーマンスを見せた。流経大柏は本田裕一郎監督が「DFのマンツーマンの意識が足りない」と導入した3バックが今大会安定していたが、決勝ではアンカーを置いた変則的な陣容へ変更。「入りで失敗した」というように守備でリズムをつくれず、加えて午前中に行われた準決勝から決勝まで休養時間が相手より短かったこともあったか、札幌U-18に比べて全体的に運動量で劣り、押し込まれてしまった。

 札幌U-18に先制点が生まれたのは前半8分だ。右中間でMF久保田成悟からのパスを受けた粟飯原が抜群のボディーバランスでDFのチャージを跳ね除けてPAへ侵入。そのまま足先で先制ゴールを押し込んだ。過去2年間怪我のために満足にプレーできていなかったという粟飯原の鮮烈な一撃。これでリードを奪った札幌U-18はMF倉持卓史とMF工藤竜平が中盤で流れを渡さずに守備も安定、逆にボールの出しどころに寄せきれていなかった流経大柏からチャンスをつくり出す。

 そして攻撃のキーマン、MF藤井慎之輔がボールロストもあった一方で際立ったドリブルセンスを披露。そして枠を捉える左足シュートを打ち込むなど相手ゴールへ迫った。流経大柏も19分に左サイドのMF儀保幸英からのラストパスを受けたFW福井崇志が決定的なシュート。だが好反応を見せたGK種村優志が右手ワンハンドではじき出して同点機を阻止する。そして札幌U-18は26分、5本連続CKのチャンス。粟飯原の右CKを平川が頭でゴールへ叩き込んで2-0とリードを広げた。

 後半も主導権を渡さない札幌U-18はスペースでボールを引き出してキープする粟飯原を起点に攻撃を繰り出す。18分には工藤の絶妙な左クロスをファーサイドの平川がヘディングシュートでGKの頭上へ決めて3-0とした。四方田監督が「ポストプレーの質をもっとあげてほしい。あれだけ身体があるんだからもっと体ぶつけたりとか、(浮き球を胸で)コントロールしたりとかね。ただ、少しずつ良くなってきているんでシーズン終わるまでにもう一皮剥けてほしい」と期待する大型FWの2点目のゴールによって勝敗の行方は決したかのように映った。

 ただし、昨季プレミアリーグ優勝の流経大柏は簡単には終わらない。明らかに闘争本能に火がつき、攻守両面で迫力のある動きの連続。後半27分、3バックから前線へ移行していたDF小川諒也が相手DFラインからボールを強奪し、そのまま左足シュートをゴールへねじ込む。一気にギアが上がったチームの中でも特にリーダーのMF相澤祥太と小川の気迫溢れる姿勢は秀逸。相澤がPAで技術の高さを見せ、運動量でもチームをけん引すると、さらにパワープレーで選手が強引にゴール前に入り込むなど、メンバー交代でボールロストの仕方が悪くなった札幌U-18を飲み込んだ。そしてアディショナルタイムに福井が左足シュートを決めて1点差とした。

 だが、札幌U-18も意地を見せて守りきり、試合終了。北海道へ戻るため、決勝の15分後には会場を出発するという過密スケジュールだったが、それでもU-19日本代表DF進藤亮佑やU-17日本代表MF杉山雄太不在の中で優勝し、掴んだ自信など得たものは大きかった。「自分たちは(雪のために)室内で練習していて、こういう外でやる機会は少ないので優勝できたのは大きいと思います」と語った粟飯原はプレミアリーグ開幕へ向けて「この後も(月末に)マリノスカップがあるので、まだ主力の選手が2人くらいいないですし、もっと連係とかを確認できたらいいと思います」。結果を残したが、満足することなく、よりいい準備、努力をして開幕を迎える。

[写真]前半26分、2点目のゴールを決めた平川中心に喜ぶ札幌U-18イレブン

(取材・文 吉田太郎)

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