beacon

ブラジル留学で得たマリーシア? PK奪取の横浜FC MF小野瀬「シミュレーションじゃないっす」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[3.22 J2第4節 横浜FC2-1山形 ニッパ球]

 昨シーズンは19試合に出場し、先発出場は9試合。唯一のゴールもPO進出の望みが絶たれた後の第41節・富山戦(1-0)で挙げたモノだった。横浜FCのMF小野瀬康介は悔しさに満ちた2013シーズンをバネに、開幕戦からスタメン出場。3戦無敗のチームに貢献してきた。しかし、アシスト、ゴールと得点に直結する数字が残せていなかったことが、気がかりだったようだ。

「とにかく結果が欲しかったんです」と小野瀬が話すのは、前半27分の場面だ。後方からDFドウグラスが蹴ったロングボールをFW黒津勝が落とすと、小野瀬がこれを受けてPA内に仕掛ける。背後からDFに倒された小野瀬は、自らPKのキッカーに名乗り出た。

「本人が倒されたからだったのでしょうが、あれにはビックリしました」と、山口監督も驚いたことを認め、「昨シーズン終盤に試合に出て、オフにもブラジルに武者修行に行き、メンタル面でも、プレー面でもたくましくなった。ただ、ここ2試合、良いときにゴールを決められていなかった。その良い意味での悔しさを出してくれたかなと思います」と、目を細めた。

 PKを蹴った理由について問われると、小野瀬は「自分でもらったんで。あそこで蹴らなかったら『ビビッてた』って、チームスタッフにも言われていたと思うので。自信もありましたし、冷静に蹴れました」と言い、中央に蹴ったことについては「先にGKが動いたので、コースを変えてあそこに蹴りました」と、説明した。

 今年1月に約1か月、ブラジルへ渡り、サンパウロ1部リーグのC.A.リネンセの練習に参加してきたことが、良いきっかけになったようだ。「刺激を受けてきましたし、向こうのレベルでもできて、自信がついたのは大きいです。こうやって試合に使ってもらっている時期に結果を残せないと、変えられるのは自分だったので。今日は結果ということだけは、良かったと思います」。

 PKをもらった場面、倒した山形DF舩津徹也は「転がすつもりはなかったですし、引っ掛かっていなかった」と判定に口を尖らせたが、小野瀬からすれば、してやったりだ。「あまり覚えていないんですが、(ボールが)クロさん(黒津)に入ったとき、サポートに行って、シュートを打とうと思っていたら、後ろから突いてくれたので。『あ、ラッキー』みたいな感じでした。シミュレーションじゃないっすよ。相手より先に体が入っていて、バランスを崩す形になったので」と、PKを獲得した場面を振り返った。

 昨季は18節までホームで勝利のなかった横浜FCだが、今季は早くも4節で勝利した。「これに満足することなく、また次も勝てるようにやっていくだけだと思います。ひとまず、良かったと思います」と言う小野瀬だが、自分のプレーについては満足できていなかった。

「守備の時間が長かったから」と漏らす。昨季までは、その守備面などに課題が多く、出場機会を得られなかったのだが「(守備で)最低限のことはやれと言われているけど、やっぱり求められているのは、もっとゴールとか、攻撃の部分で違いをつくるところだと自分では思っているので。1点取ったことで満足することなく、2点、3点取れる怖い選手になっていきたいと思います」と、自分自身に、より高いハードルを課した。

(取材・文 河合拓)

TOP