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[MOM993]市立船橋DF藤井拓(2年)_不慣れなCBに悪戦苦闘も、声で名門牽引

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.22サニックス杯国際ユース大会準々決勝 市立船橋高3-1東福岡高 グローバルアリーナ]

「今年の特徴はイケイケな両サイド」(MF中島賢星)と東福岡が誇るMF増山朝陽赤木翼の両翼が放り込むクロスを冷静にはじき返した市立船橋。勝利の立役者となったのがエースナンバーの背番号10を背負い、3バックの中央に君臨したDF藤井拓主将(2年)だった。

「なぜかは分からないんですけど、2点獲っちゃうと受け身になってしまうというか、安心しちゃう奴が多いんです」と苦笑いしたように前日の神戸U-18戦では2点を先取しながら、後半立て続けに失点し、2-3で敗戦。東海大五高戦でもリードを広げながら、2失点し、引き分けに終わってしまった。この日も東福岡に相手に2点をゲット。直後に失点を喫し、負の法則が発動するかと思われたが、「2点を奪うと、相手が取り返そうと押し込まれて、引いてしまうのが悪かった。自分たちは前に迫力のある選手がいるのに、アイツらまで引いてしまってハーフコートゲームになっていた」という分析結果から、3点目を奪いに行く姿勢を示す事で、ラインを押上げ、連続失点を防ぐ戦法に出た。

 藤井は「積極的に指示を出してラインを押し上げようと思っていた」と的確なコーチングで味方の押上げを即すだけでなく、受け身になりそうな時間帯を見つけては積極的にチームを鼓舞。声でチームを盛り上げて3点目に繋げただけでなく、高い状況判断力を活かし、何度も相手の好機をブロックし、「まだ何も手をつけていない状態」(佐藤陽彦コーチ)の守備を牽引した。

 昨年はボランチでプレーし、CBを任されたのは今年に入ってから。「最終ラインだとピッチの隅々まで見られるし、ロングボールも活きやすいと思う」とコンバートを歓迎するが、「ボランチだとがっついて奪いに行けるけど、CBだと抜かれた失点なので迂闊にがっつけない。前に出る、出ないの判断が悪いとよく怒られたり、難しい」と慣れないポジションと葛藤中。「本当はがっついてボールを奪って前に出たいし、監督からは『隙があればいいよ』と言われるんですけど、怖いんですよ」。

 一方で、「声で防げるピンチもあると思う」と不慣れなポジションを言い訳にしないためにも誰よりも声を張り上げる姿からはリーダーの風格が漂う。本人も「昨年までは周りに頼ってばかりいたけど、今年は皆から頼られる存在になりたい」と意気込む。現在、チーム作りの真っ只中で今後もCBとしてプレーを続けるか、ボランチに戻るかはまだ不明だというが、今年の市立船橋の中心に彼がいるのは間違いない。

(取材・文 森田将義)

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