[3.28 J1第5節 川崎F1-0名古屋 等々力]

　貫録のゴールだった。後半23分、MF中村憲剛からの鋭いパスを入れると、ゴール前でFW大久保嘉人が受ける。トラップは少し大きくなってしまったが、DF牟田雄佑のスライディングを冷静にかわしてゴールに押し込む。3戦連発弾は、川崎フロンターレのJ1J2通算1000ゴール目というおまけ付き。エースが今季初の連勝へと導いた。

　メモリアルゴールについては試合中は意識していなかったと話した大久保だが、ゴールパフォーマンスは用意していた。「自分の100ゴールの時にカメラで撮ったら『001』になってしまっていた。今回はちゃんとしようということで、今回は俺が1の位置にちゃんと立った。そしたら(予定になかった)憲剛さんまで入っちゃって(笑)。憲剛さんで『10000ゴール』になっちゃった(笑)。憲剛さんも『俺多いわ!』ってなって外れていきました」。ちょっとしたハプニングはあったが、メモリアルゴールが勝利に繋がったことで、これ以上ない笑い話になった。

　前日に発した言葉が注目を集めていた。ピッチ外でも親交の深いDF田中マルクス闘莉王との対戦を前にコメントを求められた大久保は「ルーズだからやりやすい」と発言。これが“挑発”として報じられた。「挑発ではないんですけどね」と頭をかいた大久保だが、「でも俺の言ってた通りでしょ」とニヤリ。特別指定選手でスタメンを張り続ける相手CBの大武峻に対しても「プロの洗礼ですよね」と話すなど、どこまでも口は滑らかだった。

　連勝で勢いづく川崎Fの次戦は、中3日で迎えるホームでのACL戦となる。相手はMF小野伸二擁するウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(オーストラリア)。19日のアウェー決戦では0-1で敗れている相手だ。大久保も途中出場したが、ゴールを挙げることは出来なかった。「楽しみですよ。弾みはついたと思います」。ホームで迎えるリベンジマッチ。“舌好調男”に死角はない。

(取材・文　児玉幸洋)

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