[3.30 ミズノカップU-18IN香川準決勝 九州国際大付高2-1初芝橋本高 瀬戸大橋記念公園球技場1]

　全国の強豪16チームが優勝を争ったミズノカップU-18 IN 香川(うどん県)2014は大会最終日の30日、準決勝と決勝を行った。九州国際大付高(福岡)と初芝橋本高(和歌山)との準決勝は、九国大付が2-1で逆転勝ち。3年連続の決勝進出を果たした。

　雨中で見せた怒涛の「イケイケサッカー」。ボールを奪うと、とにかく右SB森将彰(新3年)らが早いテンポで前線へ放り込み、FW富永京太とFW川崎航輝(ともに新3年)の2トップが勇気をもって空中戦、DFの背後のスペースへ飛び込んでいく。そしてそのこぼれ球を拾ったMF庄野海(新3年)の相手のパワーを受け流すようなドリブルが初芝橋本DF陣を困惑させる。迷いのないそのサッカーは、力強さは強烈だった。

　後半12分にDFを振り切った庄野のシュートはGK立川小太郎(新3年)がビッグセーブ。さらに21分には前線で川崎が競ったこぼれ球を拾って抜け出した庄野が再び決定的なシュートを放つ。対する初芝橋本は高いセービング能力を見せる立川の好守や相手のロングボールをひたすら跳ね返したCB永見皓平(新3年)や右SB山岡龍次郎(新2年)らDF陣の奮闘で1点リードを死守していく。

　また初芝橋本は攻撃面でもMF渡辺淳揮(新3年)の強烈な右足ミドルがゴールを捉え、その後もロングボールに反応するFW柳原慶斗(新3年)らが必死に走り回った。ただ、相手の勢いのあるディフェンスの前に攻撃を落ち着かせることができず。慌ててボールを蹴る回数が増えてしまった初芝橋本は、守勢に回る時間が続く中で運動量も低下。何とか耐え続けていた守りが終盤ついに決壊し、九国大付に飲み込まれた。

　後半29分、九国大付は右スローインからゴール前にボールを入れると、最後は中央の富永がコントロールから右足シュートを決めて同点。喜びを爆発させた九国大付はさらに34分、右サイドの富永からDFラインの背後へアーリークロスが入ると、これを受けた庄野がGKをかわして決勝点を流し込む。九国大付が大逆転で決勝進出を果たした。

　苦しい展開を乗り越えた。九国大付は前半15分にDFがPAでプッシングのファウルを取られてしまい、PKを献上。初芝橋本の柳原に先制点を献上すると、その後も初芝橋本に主導権を握られたまま前半を終えていた。ただ後半、決定機を逃しても、切れずに、執拗にロングボールを放り込み続けて逆転。九国大付の杉山公一監督は「PKを取られて、開き直ってやるという練習になった。相手の嫌なところをどんどん突いていくサッカーができたと思います」と納得の表情だった。

　個々の実力が高かった昨年に比べると、今年は戦力がやや落ちるがその中でも決勝へ進出できたことは大きい。「自信をつけておきたかった。昨年の2位とは違う。勝ち方を覚えさせるテーマで勝てたのは成果」と指揮官。準決勝の先発から9人を入れ替えた決勝では中津東高に競り負けたものの、遠征に参加した20人全員が経験を積み、「最初はここまで来れるとは思っていなかった」(庄野)という中で決勝進出。周囲の評価を覆して「自分たちも勝てる」ことを証明した。次のターゲットは3位に食い込んだプリンスリーグ九州1部や全国高校総体16強という昨年の成績を上回ること。庄野は「韓国遠征とかいろいろ遠征行って少し強くなれたと思う。プリンスで結果を出してそのあとのインターハイ、選手権で結果を出せるように頑張りたいです」と誓っていた。

(取材・文　吉田太郎)

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