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[MOM1006]東山MF井村泰誓(3年)_プロ注目の“潤滑油”

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.6 高円宮杯プレミアリーグWEST 東山高1-0京都橘高 東山高醍醐グラウンド]

「凄く自信をつけてきている。CBとボランチは崩れる事がまずない。中でも井村はコンスタントに良いプレーをしてくれている」。福重良一監督がそう期待を口にするように近年、急速に力をつける東山高の中でも目を惹く存在なのがMF井村泰誓(3年)。キャプテンのFW鎌田大地と共にプロから熱い眼差しを受ける注目株が、この日も期待通りのプレーを見せた。

 自らを“潤滑油”と評すように、決して派手なプレーは多くないが、「奪ってから正確に散らすプレーが武器」と話すように中盤の底での激しい守備でボールを奪い、的確な散らしでチームを支えるボランチ。加えて、一旦、味方に預けてから、前線を追い越す攻め上がりでアクセントを加える事も出来る頼もしい存在だ。

 初のプレミアリーグという事もあり、緊張から京都橘高に押し込まれる時間も多く、本人も「勝てた事は良かったけど、内容はイマイチ。攻撃ではビルドアップの質、守備では2対1を作れているのに獲りきれなかった事が課題。もっと攻撃で絡んで、ゴールの近くで仕事をしたかった」と反省を口にした。しかし、福重監督が「前半の苦しい時間に2回、3回とFWを追い越すプレーを見せてくれたのはチームにとって大きかった」と高く評価したように、彼が見せた粘り強い守りからの果敢な飛び出しがチームの勝利に繋がったと言っても過言ではない。

 中学時代は滋賀県のSAGAWA SHIGA フットボールアカデミーでプレー。県内での進学も考えていたが、人工芝グラウンドに憧れ東山の門を叩いた。しかし、これまでは「素質はあるので、これまでも期待していたけど、それに沿うプレーをしてくれず、感情的になる事も多かった」(福重監督)。転機になったのは、昨年12月のプレミアリーグ参入戦。他よりも一足早く新チームで帯広北高(北海道)、藤枝東高(静岡)という格上相手に思い切りの良いプレーを披露。「“出来るんや!”という自信を掴んだと思う。子どもって単純なもんで、“オマエの事を評価している人も多いよ”と教えてあげた事も良かったのかもしれない」と福重監督が話したように、わずかなきっかけから飛躍を遂げ、今ではプロからも注目されるまでになった。成長と共に「最初は監督が怖かったけど、最近は褒めてもらえるようになった。2年の時は厳しい事言われていたけど、アドバイスも貰えるようになって、怖いイメージが薄れてきた」(井村)と監督からの対応も変化してきたという。

「環境も良くて楽しくやらせてもらっている。僕らの代はメンバーが集まっていて強いのかなとも思うし、今年は高校最後の年なので、選手権で優勝するのが目標。プレミアでもっと成長して、選手権に繋げていきたい」。チーム目標を達成すれば、自ずと自身の将来も開ける。昇格1年目の東山と共に更なる飛躍を目指す彼のプレーから目が離せない。

(取材・文 森田将義)
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