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GKキム・ジンヒョンを代えたC大阪ポポヴィッチ監督「彼を守るというメッセージ」

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[4.12 J1第7節 C大阪2-2G大阪 ヤンマー]

 サッカーの監督は、90分間の中で選手を3人交代できる。通常であれば、その交代枠はすべてFPに使われることが多い。しかし12日の大阪ダービーで、セレッソ大阪ランコ・ポポヴィッチ監督は1点を追う後半14分、最初の交代枠で韓国代表GKキム・ジンヒョンをベンチに下げ、GK武田博行をピッチに送り出した。その後、チームはFWフォルランが直接FKを決めて同点に追いつくと、終盤はGK武田の好守もあって、勝ち点1を手にしている。

 試合を振り返り「今日は勝ち点2を逃した試合だった」と、相手を上回る試合運びができていたと総括したポポヴィッチ監督は、キム・ジンヒョンの交代について問われると、「GKはもちろん、ミスは誰にでもあるもの。特にGKのミスというのは、結果に直接影響するということで、非常に目立ってしまう」と、前置きをした。

 そして「ジンヒョンは、非常に良いGKです。今日、私たちが勝って終わっていれば、彼もそこまで引きずることはないと思うのですが、彼もW杯メンバー入りの当落線上にいる選手としてのプレッシャーと戦わなければいけません。試合を戦いながらも、どこかでリーグ戦に集中できずに、W杯のメンバーに選ばれるか、選ばれないかということが頭をかすめている。そういう部分があったと思います。今日のプレーを見ていれば、集中の部分で欠けていたと思いますし、あそこで彼を代えることで、逆に『彼を守る』というメッセージがありました。後ろをしっかり安定させて、逆転させるという意図がありました」と、説明した。

 ポポヴィッチ監督が「相手にゴールをプレゼントしてしまった。勝負に勝つためには、なくしていかなければいけないイージーなミス」と断じた前半終了間際の1失点目の場面で、DF山下達也との連係を欠き、ボールをパンチングしきれずにMF阿部浩之に同点ゴールを許してしまう。その後もフィードミスが散見するなど、この日のキム・ジンヒョンは精彩を欠いた。

 交代を命じられたGKキム・ジンヒョンは、ベンチに戻らず、そのままロッカールームへ姿を消した。ケガでもなく交代を命じられた悔しさは、当然あるだろう。ここから気持ちを切り替えて、これまでのプレーを取り戻せるかどうかが、今後のキャリアを大きく左右しそうだ。

(取材・文 河合拓)

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