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[プリンスリーグ東海]元日本代表コーチ・大木新監督就任の磐田U-18、昇格組の東邦に苦戦も1-0で振り切る

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[4.13 高円宮杯プリンスリーグ東海第1節 磐田U-18 1-0 東邦高 ゆめりあ]

 13日、高円宮杯U-18サッカーリーグ2014 プリンスリーグ東海第1節のジュビロ磐田U-18(静岡)対東邦高(愛知)戦が行われ、磐田U-18が1-0で勝った。

 3年連続でプリンスリーグ東海を制しながら、いずれもプレミアリーグ参入戦で敗退している磐田U-18は、今シーズンから元日本代表コーチで昨シーズンまで京都監督を務めていた大木武氏が監督に就任。「トップチームでもユースチームでもサッカーはどこでも変わらない。(コンセプトは)全員で攻めて、全員で守る。(その中で)しっかりと自分たちがボールを握ってサッカーをしたい」という新指揮官の下、磐田U-18は安易にフィフティボールとなるようなキックをせずに自陣からショートパスをつないで東邦陣内へ押し寄せた。

 ただボールを握るだけではなく、パス回しはスピーディー。ディフェンスラインから1タッチのパスを交えながら4本、5本と連続で通して前線へボールを運んでいく。4-3-3システムの中盤中央に位置する10番MF上原力也(3年)がスペースへ正確に落とすパスなどで目立つ存在となっていたが、全員がボールの出し入れ、スペースづくりに関わる攻撃を展開した。その中でオープンスペースへの飛び出しから正確なファーストタッチと迫力のある突破を見せる左SB塩谷仁(3年)と、狙いすました攻撃参加で右サイドをえぐる13年U-17W杯日本代表SB石田崚真(3年)の両SBの高い攻撃力を活用。また160cmのドリブラー、FW山下諒也(2年)が小刻みなタッチのドリブル、ラストパスでPAを攻略しようとする。

 そして25分、磐田U-18は「少し練習はしていた」(大木監督)というトリッキーなセットプレーから先制点を奪う。左CKのキッカーを務めた上原がニアサイドにグラウンダーのボールを入れると、DFのマークを外してニアサイドへ飛び込んできた塩谷が1タッチでゴール。右足のスパイクが脱げながらもゴールへ押し込んだ左SBの一撃で磐田U-18がリードを奪った。

 ただ、昨年の愛知県1部リーグとプリンスリーグ参入戦を勝ち上がり、10年ぶりにプリンスリーグを戦う東邦も好チーム。東海王者相手に攻撃で主導権を握ることはできなかったが、守備網の中に入ってくるボールに狙いを定めて厳しいプレッシャー。相手のミスを誘ってボールを奪うと、オープン攻撃を繰り出し、獲得したセットプレーからゴールを狙う。9分にはMF澤田奨平(3年)の左CKにエースMF鈴木大嗣(3年)が決定的な形で飛び込む。さらに17分には右サイドを抜け出したMF土本怜央(3年)のラストパスをニアサイドのCB大岡和剛(3年)が合わせた。180cmCB山田尚哉(3年)ら主力クラスの3選手を欠いていたという東邦だが、代わって中盤からCBに入った大岡らが奮闘。失点後も中盤が空中戦で健闘し、DF陣が相手のラストパスを足にかけて決定的なシュートを打たせない。それぞれが守備面での役割をおこたらずに前半を0-1で折り返した。

 後半もボールを握っていたのは磐田U-18の方。だが、ラストパスへ持ち込む遥か手前の段階でミスが起きるなど、敵陣でボールを動かす時間が大きく減ってしまう。逆に東邦は後半8分に敵陣でのインターセプトからMF高野崚主将(3年)が左足シュート。13分には鈴木が個人技で、17分には鈴木とのワンツーから左SB片寄圭人(3年)がそれぞれPAへ切れ込むと、18分には右サイドでインターセプトしたSB齋藤晃一(3年)が独走し、決定的な右足シュートを打ち込んだ。

 これは磐田U-18GK増田将主将(3年)のビッグセーブに阻まれたが、上原のミドルシュートやGKをかわした山下の決定的なシュートなど、磐田に2点目のチャンスを掴まれながらも凌ぐ東邦。横井由弦監督が「何とか持ちこたえてくれていた。自分たちの方が先に足が止まるかなと思っていたけれど、ジュビロの方が先に止まりかけた。彼らなりに最後までよく戦ってくれた」と目を細めたチームは終盤、ビッグチャンスをつくり出す。

 41分、東邦は「昨年全く出ていなかったけれど、春先に急成長した」(横井監督)というMF長尾遼馬(3年)が右サイドでインターセプト。すかさず出されたスルーパスをFW西村雄生(3年)が抜群のスピードとボディコントロールで収めてそのままPAへ侵入する。そして決定的な形で右足を振りぬいたが、再びGK増田が立ちはだかり、ビッグセーブ。さらにアディショナルタイム突入後には西村のラストパスから交代出場のMF尹一(3年)がゴールを狙ったが、ここでも増井の壁は破ることができず。そのまま試合終了を迎えて1-0で磐田U-18が制したが、大木監督が「勝っただけで全くダメ。点取れないし、自分たちのミスでボールを失っている」と首を振った王者に対して、プリンスリーグ復帰組の東邦の健闘が光る試合だった。

[写真]磐田U-18は塩谷(手前)の決勝点で勝利したが、不満の残る内容に

(取材・文 吉田太郎)
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