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オフサイドに惑わされた神戸GK山本「確かに笛は鳴ってなかった」

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[4.19 J1第8節 鹿島2-3神戸 カシマ]

 チームメイトに感謝した。1-1で折り返した後半9分、ヴィッセル神戸はまさかの形で失点した。鹿島MF遠藤康が右サイドのスペースにスルーパスを出すと、これに反応したFWダヴィがオフサイドポジションにいたとして副審の旗が上がった。ダヴィを含め、両チームの選手がプレーを止める。ゴールを空けてボールに追いついたGK山本海人は自分たちの間接FKでゲーム再開だと思い、オフサイドのあった位置に向かって軽くボールを蹴り出した。

 ところが、中村太主審はまだ笛を吹いておらず、インプレー中だった。一瞬、だれもが固まったかのように立ち止まっていた中、ダヴィがすかさずボールをカット。そのまま左足で無人のゴールに流し込んだ。神戸の選手は中村主審に抗議したが、判定は変わらない。悔やまれる形で1-2と勝ち越しを許した。

「最初に主審を見たとき、笛を口にくわえていた。副審を見ながら走っていて、旗を上げていたし、ノールックでボールを返してしまった。冷静に考えれば、笛が鳴るまではインプレー中だし、それがルール。冷静になってみると、確かに笛は鳴っていなかった。副審より主審に決定権があるわけだし、今後はなかなかないことだと思うけど、教訓にしたい」

 試合後は、ただただ反省していた山本。そして、逆転してくれた仲間に感謝した。「ああいう失点の仕方をすると、モチベーションが落ちることが多い。その中で奮起してくれたことに感謝しないといけない。今回は僕が助けられたけど、だれのミスであっても、仲間で助け合えるチームになりたい」。

 シュート数は8本対19本。特に前半は4本対13本と、苦しい展開だった。前半7分に先制を許したものの、その後は山本もビッグセーブを連発。1-1の前半アディショナルタイムには至近距離でFWダヴィのシュートを体で止めた。「やられたくない気持ちだけで体で止めに行った。1失点なら、後ろが耐えていれば、前の選手が応えてくれると信じていた」。3-2と逆転したあともダヴィのシュートを山本が体を張って防ぐなどゴールを死守した。

 4連勝で暫定首位にも立ったが、山本は冷静だ。「清水時代にも10何試合負けなしで一時、首位を経験した。普段、首位に慣れていないチームは浮き足立つことがある。来週のトレーニングでしっかり地に足を付けて、自分たちを見つめ直して、よりいいサッカーができるようにやっていきたい」。まだシーズンは始まったばかり。「もっと失点を減らしていきたいし、無失点で終わらせるために気持ちの入った試合をしていきたい」と、決意を新たにしていた。

(取材・文 西山紘平)

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