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[関東大会予選]伝統の堅守に加わった新たな色、浦和東が市立浦和に攻め勝つ

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[4.19 関東大会埼玉県予選準々決勝 市立浦和高 1-2 浦和東高 西武台高第2G]

  平成26年度高校サッカー関東大会埼玉県予選は19日、準々決勝を行い、昨年度全国高校選手権に出場した市立浦和高浦和東高との埼玉強豪対決は、浦和東が2-1で競り勝ち、関東大会出場へ前進した。浦和東は20日の準決勝で武蔵越生高と対戦する。

 伝統の堅守に新たな色が加わりつつある――。そう印象付ける浦和東の強く、技術とアイディアもある“面白い”サッカーだった。同じく攻撃的なスタイルを前面に出す市立浦和との一戦。主導権を握ったのは、就任2年目の鈴木豊監督が「市高は攻めてくるんで、そういう相手に受けになると、相手のペースになる。だから相手に守備の意識を持たせる。背後を突いたり、ワイドを取ってみたり、逆に攻めていって相手に守備を意識させて試合をしようと。それが狙いだったので良くやってくれた」と評した浦和東だった。

 指揮官が「伝統の堅守に加えて新しい色を出していこうと。今までの堅い守備を忘れないで、攻撃の方に主眼を置いてトレーニングしてきた」と説明したように守備面の良さを第一に残しつつ、新たな取り組みをスタートさせた浦和東。春休みは遠征を行わずに、校内で合宿を張って1タッチのパスにこだわったトレーニングを行ってきたという。主将のCB高澤尋斗(3年)が「攻撃のバリエーションの練習とかをディフェンスも厳しくやりつつやっている。ディフェンスが緩かったら意味がない」と語ったように、伝統的に厳しい守備が持ち味の浦和東を相手とした攻撃練習が、その精度を高め、また攻撃タレントの多い今年の選手たちの良さを引き出している。

 その浦和東は前半15分に幸先良く先制した。右サイドを突いたMF佐藤直輝(3年)のラストパスを、DFとのポジション争いを制したFW松本雄太(3年)がゴールへ沈める。先制した浦和東はピッチを広く使ったパスサッカーを展開。相手のDF間の距離を広げると、狙いすましたグラウンダーの縦パスや1タッチのパス交換で攻めていく。「行けるんだという気持ちを持たせることが大事。1回、2回抑えられても次すぐに切り替えて攻めていく。パスミスを恐れて蹴っちゃうと相手のペースになってしまう」(鈴木監督)とミスしても怯まずに積極的なチャレンジを続けた。特に1タッチでボールを次々と捌くMF大澤潤矢(3年)とアイディア溢れるプレーで会場を沸かせるMF岩出拓也(3年)、そしてアンカーの位置で鮮やかなルーレットを披露し、左足の好パスを通す2年生MF望月海渡が存在感。加えて右サイドで決定的な仕事をする佐藤直輝、彼らをサポートするMF天貝幹太(3年)らの存在もあり、堅守を伝統とする浦和東が攻撃で流れを引き寄せていた。

 ただ前半の終盤は市立浦和の攻撃力が牙を剥く。ミスが増えて守る時間が増えた浦和東に対し、市立浦和は最前線に位置するFW中井晴斗(3年)を起点に、左の強力アタッカー、FW冨田康平(3年)と右サイドで鋭い突破を繰り出すFW瓜生遼馬(2年)の両翼が決定機を生み出した。28分、ショートカウンターから瓜生が右足を振りぬくと、37分には速攻から右サイドへ展開し、瓜生がPAへラストパス。これが冨田の足元へ入るが、決定的な左足シュートはこの日再三勇気ある飛び出しを見せていたGK稲葉幸太(3年)と本来アタッカーながらこの日右SBで起用された小濱陽平(3年)が必死にブロックする。市立浦和は40分にもMF茂木奎太(2年)が抜け出したが、ここでも浦和東CB臼倉大地(3年)の好守の前にシュートを打ち込むことができない。

 逆に浦和東は後半開始直後、天貝の斜めのスルーパスで右サイドを破った佐藤直輝が折り返し、岩出が決定的な右足シュート。これは市立浦和守備陣が懸命の守備で得点させなかったが、5分に浦和東が再びスコアを動かす。左サイドを切れ込んだ望月のラストパスをファーサイドでフリーとなった佐藤直がゴールへ押し込んで2-0とした。さらに7分には、DFの背後へ抜け出した大澤を最終ラインで奮闘していた市立浦和CB小林俊哉主将(3年)がファウルで止めてしまい、一発退場。数的優位も得た浦和東は左サイドの岩出があわやのコントロールショットや直接FK、そして飛び込んできたDFを鮮やかにかわすドリブルで躍動する。また左SB佐藤直人(3年)がワンツー、右SB小濱がダイアゴナルのドリブルからそれぞれ決定機を演出するなど攻撃面での良さを発揮し続けた。

 ただ、決定的なシュートを決めきることができず、前半同様に終盤失速した浦和東を市立浦和が追い詰める。全国高校選手権の初芝橋本高戦で決勝ゴールを決めている10番の石神佑基(3年)を右DFから前線へ配置した市立浦和は34分、冨田が左サイドから出したラストパスをその石神が決めて1点差。終盤は1人少ないにも関わらず、まるで4トップかのような攻撃布陣で浦和東ゴールを目指した。ただ「自分は上手くないので身体を張ることでしか貢献できない」という高澤ら浦和東守備陣の堅守が発揮されて2-1のまま試合終了。大澤が「堅守を忘れがちにならず、今できることを一生懸命やりたいです。豊先生を胴上げしたいです」と語り、高澤は「選手権優勝が目標です。今も、この試合も選手権へ向けた“実験”。ボールを受けることもビビらずにやりたいです」と宣言した浦和東が、昨年3戦3敗だった市立浦和を突破した。

[写真]浦和東は岩出ら攻撃陣が力を発揮して“天敵”市立浦和に勝利
 
(取材・文 吉田太郎)

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