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もう悔しい思いはしたくない…成立学園がリベンジのシーズンに挑む

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 昨年のような悔しい思いは二度としたくない。そんな思いが今年のテーマとなっているチームがある。東京・成立学園高校だ。

 取材日の練習では一風変わった風景が見られた。キャプテンのFW上村諒斗(3年)らが中心となって練習メニューの指示を出す。選手らの自主性に任せる練習メニューだ。太田昌宏監督は「今日は選手だけでやらせました。試合では自分たちで判断しなければいけないことも多くなってくる。ちょっとリーダーシップを取れる子が少ないと感じているので、そういった練習メニューも与えています」と意図を説明した。

 成立学園は昨年、9年ぶりに夏の全国大会を経験した。だが1回戦で大阪府代表の近大附に0-5で大敗。文字通り、高い壁に跳ね返された。「コテンパンにやられた」(太田監督)という思いから、冬の全国大会でリベンジを果たすべく、士気を高めていた。だがその冬の舞台で、更なる試練が彼らを襲う。

 順当に都大会決勝まで勝ち上がった成立学園は、昨年11月16日、味の素フィールド西が丘で行われた修徳高校との決勝戦に臨んだ。試合は一進一退の壮絶な打ち合いとなったが、後半37分に成立学園はDF内田悠磨(当時2年)が逆転ゴールを叩き込み、念願の全国行きをほぼ手中に収めた。

 しかしここからまさかの展開が待っていた。後半アディショナルタイム2分、相手FKが味方DFに当たってコースが変わるという不運な形で同点弾を許すと、延長後半3分には勝ち越しゴールを献上。手の中にあったはずの全国行きチケットがスルリとすり抜けていった。

 “あの場”を経験した選手たちの脳裏には、今でも悔しさが鮮明に蘇る。DFとして勉強になったと語る中村樹生(3年)は「やっぱりあれをさせないためには、声掛けとかがすごく必要になってくると思う。最後まで集中を切らさないということを学びました」。今季も中心選手として活躍が期待されるMF上田悠起(3年)は、「あの会場にいた誰もが成立が勝ったなと思ったはず。凄く悔しかった。あれから自分も甘かったと思って、日々の練習に取り組んでいる。もう後悔したくない」と強い口調で話した。

 冒頭の練習はそんな選手たちを一回りも二回りも成長させたいという思いから作られた。太田監督は「去年の悔しさというのを絶対に晴らしたいというのは常々言っている。そういった意味では去年の悔しい思いを経験した選手は意識が高い。今年はそれをどう生かしてくれるのか、楽しみな部分でもあります」と大きな期待を寄せている。

 今冬行われた全国大会でも選手使用率ナンバー1を誇ったアディダス社製のスパイクが、彼らのリベンジをサポートすることになる。

 3月某日、成立学園のグラウンドで行われた試し履きイベント。選手たちはアディダスジャパンスタッフの説明を興味津々に聞き入ると、群がるように並べられた新スパイクに飛びつく。「スピードのない子がスピードの出るスパイクを履きたがる傾向を感じました。面白いなと思いますよね」。選手たちのスパイク選びを見守った太田監督がつぶやく。アディダス史上最軽量の高速スパイクとして人気を誇る『アディゼロ F50』を手にした上田は「足入れた感じから自分に合っているのが分かった。ボールを蹴った時のインパクトもすごく伝わりやすかった。この軽さであれば、スピードもより生きると思う」とスパイクの効果を実感する。

 その他、技巧派のプレーヤーがボールコントロールに違いを生み出す「必殺5ゾーン」を持つ『プレデター リーサルゾーン』、運動量やハードなプレーでチームを助けるダイナモたちが愛用する『ナイトロチャージ』、日本限定モデルの「パティークX」と世界共通モデルの「アディピュア11プロ」を融合させた“日本発信の世界基準”『パティーク 11プロ』と、バラエティーに富んだスパイクコレクションの中から、自分に合ったスパイクをそれぞれ選らぶ。フィット感を重視している『パティーク 11プロ』を選んだDF小池拓斗(3年)は「踏ん張っても中でズレない。横にズレると嫌なんですよね。前もパティークを履いていたのですが、その流れで履き続けていきます」と笑顔を弾けさせた。

 昨年から4、5人のメンバーを残す成立学園だが、太田監督は昨年のチームと比べると、個の能力では若干劣る部分があると話す。だが「去年は個の力を見るといい選手はいました。でもなかなかチームのためにという選手が少なかった。今年は『俺たちはそんなに上手くない』というのを自覚しているので、『みんなでやらないといけないんだ』という思いが強い」と総合力で勝負したい考えを明かす。

「攻撃を主体としたチームにしていきたい。去年はそれまでなかなか勝てなかったというのもあったので、守備からきっちりやらないといけなかったのですが、今年はある程度ベースがある。その上で攻撃的にどう行くかという部分を突きつめたいですね」

 現3年生は太田監督が成立学園の下部組織でもある成立ゼブラ時代から持ち上がってきた世代でもある。成立学園にとっても大きな節目を迎えるシーズン。全国の借りは全国で――。機は熟している。

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(取材・文 児玉幸洋)

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