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[関東大会予選]プロ入り目指す東京屈指のレフティー、成立学園MF上田は左足に頼らず進化

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[4.20 関東大会東京予選準々決勝 成立学園高 4-1 石神井高 駒沢第2]

 プレッシャーのかかっていない状況でのプレーは別格だった。成立学園高の10番を背負うMF上田悠起(3年)は今年の東京都を代表する左利きの司令塔。「左足は絶対に誰にも負けないと思っているし、全国でも通用すると思っている」と絶対の自信を持つ左足に頼ることなく、他の武器を増やしているMFは違いを示して勝利に貢献した。

 まずは試合開始直後に左クロスのこぼれ球を頭で押し込んで先制点。その後は中盤でボールを引っ掛けてしまうシーンがあるなど決して出来が良かった訳ではないが、「前半のままじゃダメだなと思って、いかに自分がチームのためにスペースを開けたり、ボールを触ってリズムをつくることができるのかというところを意識してやりました」という後半は3得点を奪ったチームの猛攻の中心にいた。

 左足でのスルーパス、サイドチェンジに加え、3点目と4点目は周囲を唸らせるようなプレー。後半12分には中盤中央から右サイドを走るMF上村諒斗の前方へピンポイントのボールを配球して3点目を演出すると、18分には今度は中盤からの右オープンスペースへ出されたパスに受け手として駆け上がる。そして左足アウトサイドでの完ぺきなラストパスでMF三角航平のゴールをアシストした。

 元浦和の太田昌宏監督は「ちょっとここ最近目の色が変わってきた」と上田について分析していたが、確かに下がり目の位置から左足を駆使してサイドチェンジやスルーパスを狙うだけでなく、チームのためにランニングする姿が目立ってきている。4点目のアシストのほかにも中盤から最前線にまで飛び出すシーンがあり、1点目はクロスのこぼれ球に飛び込んで“珍しい”頭でのゴール。特に後半は周囲の運動量が減る中でギアを一段階上げたまま走り切った。

「攻撃だけでなく守備も良くなってきた。攻守に置いてハードワークするようになってきた。(相手の運動量が落ちた後半のように)これだけスペースを与えてもらったら何でもしてしまう」と太田監督。相手の運動量が落ちた後半は思い通りに長短のパスを通し続けていた。課題は守備、そして視察に訪れていた大学関係者も「プレッシャーが厳しい中でどれだけできるか」と上田について語っていたが、全国レベルのチームと戦う中でどれだけ質の高いプレーができるか。その点をコーチングスタッフたちも注視している。

 高校から即プロになることを目指している。「自分は高卒でプロを第一目標にしている。今後上に上がっていくためには左足に頼るだけでなく、右足でも同じように使えたり、他の武器でも通用する選手になりたいと思っています。1試合1試合大事に戦って、練習から常に自分のためになるように100パーセントでやることを意識してやっている。幼いころからの目標であるプロになること、あと(元日本代表の宮内聡)総監督を超えることも自分の夢です」。元日本代表MFの宮内総監督も「天下一品」と認める左足。スーパーサブのような役割だった昨年も高校選手権東京都予選決勝で貴重なゴールを決めるなど印象的なプレーを見せていたが、大黒柱として迎える今年、連日最後までグラウンドに残ってボールを蹴り続けるなどより覚悟をもって日々を過ごしている。左足だけでなく、右足でもFKを練習し、守備も人に任せず自分がやる構え。「あの年齢までサッカーできることは凄いと思うし、いつも向上心を持っている」憧れのMF中村俊輔のような選手になるため、日本一とプロへのアピールを目指す今年、そして「来年以降」へ向けた準備にも余念がない。
 
(取材・文 吉田太郎)

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