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[プリンスリーグ関東]伝統校の湘南工科大附が新たな歴史刻む!國學院久我山との打ち合い制してプリンスリーグ初勝利!

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[4.26 高円宮杯プリンスリーグ関東 湘南工科大附高 3-2 國學院久我山高 湘南工科大附高G]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2014 プリンスリーグ関東は26日、第3節を行い、ともに昇格組の湘南工科大附高(神奈川)と國學院久我山高(東京)が激突。湘南工科大附が3-2で競り勝ち、プリンスリーグ初勝利を挙げた。

 相模工大附高時代に2年連続で全国高校選手権4強。ドイツで活躍した奥寺康彦氏や“ミスターレッズ”こと福田正博氏ら日本代表選手を輩出してきた古豪、湘南工大附が國學院久我山と堂々とした戦いを演じて、勝ち点3を勝ち取った。昨冬のプリンスリーグ参入戦では全国高校総体4強の正智深谷高(埼玉)、東京王者の横河武蔵野FCユース、そして全国高校選手権にも出場した桐生一高(群馬)を連破。MF勝山聖也主将(3年)は昇格決定の喜びを感じた一方、F東京U-18や横浜FMユース、浦和ユースなどトップレベルのチームと戦う過酷なリーグ戦を戦うことになった心境を「メンバー見ただけでもJユースばっかりなので・・・。3割くらい楽しみもあったんですけど、不安の方が大きかったです」と明かす。

 ただ、今季のプリンスリーグ開幕後、無得点で2連敗したものの、持ち味のポゼッションで対抗。「1試合、2試合やって、できなくはないと思っていた。自信をみんな持っていた」(勝山)というチームは強豪・國學院久我山から初白星をもぎ取る。チームの歴史に新たな1ページを刻む初勝利に室井雅志監督は「18試合勝ち点取れないかなと思っていました…。きょうも1点取ることが目標だぞと話していました」と苦笑いしつつも、「大きな勝ち点。相手のスピードや決めきるところだったり、神奈川では何とかなっていたことがここでは通用しない。Bチーム同士の練習試合含めて、こういうところにいたら絶対に伸びると思います」と選手たちの今後の成長を期待していた。

 湘南工大附は前半2分にいきなりプリンスリーグ初得点をマークする。テンポの速いパスをPAまでつなぐと、混戦から10番FW上米良柊人(3年)が左足シュート。こぼれ球にいち早く反応したFW植木勇作(3年)が右足でゴールへ押し込んでリードを奪った。

 國學院久我山はすぐに反撃に移るが、前半は李済華監督が「(今年は現状)テクニックに安定感がない。それでもこんなに悪いチームを見たのは久しぶり。中盤の構成力が大事なチームなのに、(特にきょうはボランチが)両方ともボールを弾いていた」と首を傾げる内容。それでも狭いスペースでのパス交換に加えて右FW飯原健斗(3年)やFW内桶峻(2年)がドリブルで切り崩すようなシーンもあった。また21分にはゴール方向へ向かったダイアゴナルのドリブルと外側のスペースへのパスの連続から右SB鴻巣良真(3年)が決定的なクロスを放り込む。27分には敵陣の深い位置でインターセプトした内桶がシュートへ持ち込んだ。

 ただ前半は湘南工大附の試合展開。自陣で上手くバイタルエリアのスペースを消していた勝山らがボールを奪うと、相手のプレッシャーを1タッチ、2タッチのパスでいなしながらビルドアップして敵陣まで運んでしまう。ただ、なかなか深い位置までボールを運ぶことができず、また距離を詰められていない段階でバックパスを選択してしまうシーンも多く、攻撃が重くなってしまっていたのは確か。それでも一度ボールを奪うとこのチームは簡単には相手に渡さない。そして軽快に1タッチのパスを捌いていたMF松井航希(3年)や力強いドリブルで相手DFを引っ張る上米良、昨冬の参入戦決勝で桐生一高から2ゴールを奪うなど昇格の立て役者となったFW石塚龍成(3年)の鋭いターンとドリブルなどをアクセントとした攻撃で國學院久我山に対抗した。
 
 そして、31分だ。敵陣中央でDFに囲まれながらも前を向いた石塚が仕掛けると、こぼれ球を松井が左中間から鮮やかな右足コントロールショットで逆サイドのゴールネットへ沈めて2-0と突き放す。一方、2点ビハインドとなった國學院久我山は33分、インターセプトした鴻巣が中央から右サイドへ展開。スペースへ飛び出した内桶がクロスを入れると、一気にPAまで走りこんできた鴻巣が頭で合わせる。前半38分に投入された注目の1年生FW澁谷雅也や、後半、CBからボランチへポジションを移した内藤健太主将(3年)を軸に反撃する國學院久我山は後半13分、左中間で獲得したFKから10番MF花房稔(3年)が相手GKが見送るしかなかった一撃を右足でゴール右隅に決めて1点を返した。

 だが、相手に押し込まれる時間が長い中でも上米良のスペースへの飛び出しなどで一発の怖さを示していた湘南工大附は19分、中央でボールを持った上米良が技術の高さと体幹の強さを発揮し、寄せてくるDFを次々といなして突進。そのままPAまで持ち込むと、渾身の右足シュートをゴール左隅へ決め、ホームの大歓声の中で拳を握りしめた。

 さらに湘南工大附は24分にも松井の展開から右サイドでボールを持った石塚がDFとGKの間に絶妙なラストパス。これで上米良がGKと1対1になる。終盤には攻撃参加した右SB横山晴槻(3年)がワンツーから抜け出して決定的なシュートを放つシーンもあった。対する國學院久我山は押し込みながらも相手の辛抱強い守りの前に、ラストパスを通すことができていなかったが、36分に内藤のスルーパスから飯原がPKを獲得。これを飯原が左足で決めて再び1点差とする。

 後半半ばから3バック、ほぼ5トップの陣形で攻め続ける國學院久我山はさらに38分、左サイドからのドリブルでDF間を割って入った澁谷が右足シュート。だがクロスバーを叩いて真下に落下したボールはゴールラインを越えなかったという判定で同点に追いつくことができない。そしてアディショナルタイムに内藤がPA外から放った右足シュートがわずかに枠外へ外れて試合終了。十分に勝ち点を奪取するだけの攻撃を見せながらも黒星に終わった國學院久我山の李監督は「点取ろうということで良くやってくれたけれど、(勝ち点1が取れずに)ちょっと残念だなと思いました。我慢強くやって行くしかない」。

 87年の全国高校総体出場を最後に全国大会出場のない湘南工大附だが、神奈川県のトップリーグに上がって2年目の昨季に優勝。そして各都府県の優勝チーム集う参入戦を勝ち上がってきた。サッカー部の特待生制度もなく、毎年強さを保つことは簡単ではない。それでも、湘南工大附でプレーしたいと思う選手たちが入学し、徐々に強豪と高いレベルで渡りあいはじめている。着実に階段を上ってきているように映るが、室井監督は「目の前のことしかない。毎年、毎年つくってという。ウチに来てくれた選手に頑張ってもらうしかないし、(選手に対して言うのは)オマエらがブランドだよと。(ただ今の状況はチャンスで)プリンスリーグに1、2年残れば、変わるんじゃないかなと思っている」と期待する。勝山は「去年も関東へ上げてもらった。まずは残留目指して、勝ち点取って行けば上位に絡めると思う。来年につなげてあげたい」。厳しい戦いが続くことは間違いない。ただ、選手たちは白星でまた自信を掴んだこの舞台に生き残って、強豪としての地位を築こうとしている。

[写真]前半2分、湘南工大附はFW植木(中央)が先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)

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