[4.29 J1第10節 G大阪1-2柏 万博]

　敗戦はリーグ最小の「1」だが、引き分けはリーグ最多の「5」。負けないが、勝てない。そんな戦いを強いられている今季の柏レイソルだったが、浦和戦(3-2)、G大阪戦(2-1)で今季初の連勝を飾り、上り調子だ。2試合とも逆転勝利を飾り、これまではこぼしていた白星を確実に手にしている。

　相手に合わせた戦術を採るのが得意な柏が、この試合ではG大阪に“ミラーゲーム”を仕掛けられた。主将のMF大谷秀和は、奇策に屈せず、逃げ切りに成功した試合を振り返った。「相手がシステムをいじった中で、自分たちのプレスがハマるのを見つけるのに時間がかかってしまって、相手に押し込まれる時間が続いてしまった。後半になると前線の選手も疲れが出てボールにいけなくなったところもありますけど、そこは代わって入った(狩野)健太や(キム・)チャンスが前に行く勢いを出してくれた。ああいうことができれば、個人の能力が高いガンバも蹴らざるを得なくなる。後ろの選手がガマンできていたし、守り切る上でやらなければいけないことはできていたと思う」。システム変更直後は流れを渡したが、見事に対応し、攻勢に出たG大阪に得点を許さなかった。

「浦和戦もそうですけど、いい試合の入り方をしていたのにワンチャンスで入れられてしまう点は改善しないといけない」。浦和戦では前半24分にFW原口元気に、G大阪戦では前半13分にFWリンスに、シュートを決められた。どちらの試合も柏が相手陣内で試合を進め始めた矢先だった。しかし、原口のシュートはロングパスから、リンスのゴールはこぼれ球の競り合いからで、今季、相手に崩されるシーンは確実に減っている。「シュート自体は素晴らしかったですが、シュートに行くまでにボールを奪える可能性はあったので、細かいところはつめないといけない。ただ、チームとして大崩れしていないので、チームとして自信を持ってやれている」。リーグ優勝を知るキャプテンは自信を覗かせた。

　連勝で順位を6位まで上げた柏。次節は日立柏サッカー場に、勝ち点4差で追う首位・鹿島を迎える。「中断までに少しでも上との差をつめようとやっている中では、絶対に勝たなければいけない。今年初めて連勝できたので、この勝ちを続けられるようにホームで3連勝したい」。1996年以来18年ぶりに聖地・日立台で鹿島から勝利をすれば、上位も見えてくるはずだ。

(取材・文　奥山典幸)

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