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浦和一筋13年目、MF平川「大事な仲間がいる」

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[4.29 J1第10節 浦和1-0横浜FM 埼スタ]

 34歳のベテランは後半21分にピッチを後にするまで激しい上下動を続けた。浦和MF平川忠亮はリーグ戦では4試合ぶりとなる先発出場を果たすと、試合開始から積極的に右サイドを駆け上がってボールを引き出し、前線の選手へクロスを供給している。これは、試合前にイメージしていたプレーだと試合後に振り返った。

「久し振りの先発だったけど、自分がやれる仕事は限られている。ウメ(梅崎司)や関根(貴大)のようなプレーは僕には求められているとは思っていないので、自分らしさ、自分のプレーをするだけというイメージを持って試合に入りました」。改めて自分らしさを自分の言葉で表現すると、「チームのバランスを保ちながら、前に行けるときには行く。仕掛けて相手を抜いていくのは僕には難しいので、早いタイミングでクロスを上げること」と話したように、序盤から自らの持ち味を発揮した。

 前半13分にはFW原口元気へドンピシャのクロスを送ったが、「クロスの精度は上げていかないといけませんね。でも積極性は忘れたくない。積極的にクロスを上げることで中の選手も飛び込んでくれるし、上げないと中の動き出しも少なくなってしまう。積極的に上げることを続けながら、そのクオリティーを高めていきたい」とベテランの域に入りながらもどん欲な姿勢を示している。

 また、若い頃に比べて試合への入り方に変化があったと話している。「僕ももう34歳だし、今までいろいろな経験を積んできました。自分が素晴らしいプレーを見せようとするよりも、チームの勝利のためにどう動くかを考えると、少し落ち着いて試合に入れるんです。自分で『ああしよう、こうしよう。得点に絡まないと』と思い過ぎると力が入り過ぎるし、守備が疎かになったりしますからね。だから自分らしいプレーでチームに貢献することを考えて試合を迎えています」。チームのために何をすべきか考えることで落ち着きを生み、久し振りの先発出場でも試合にすんなりと入っていた。

 浦和一筋13年目。生え抜き選手として、チームへの思いは人一倍強いのかと思いきや「もちろんチームへの思いはありますが、あまり意識しないですよ、正直。生え抜きだから、どうっていう気持ちはないんです」と語っている。それはなぜかと言うと「移籍してきた選手も浦和レッズのために戦っている大事な仲間です。僕には多くの仲間がいますから。生え抜きだからどうしようという気持ちではなく、まずは自分自身が試合に出れるように努力して、仲間とともにチームの勝利のために戦うだけです」。2日後の5月1日に35歳の誕生日を迎える男は、胸を張ってそう答えた。

(取材・文 折戸岳彦)

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