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J3得点王へ突き進む町田FW鈴木孝「ずっとボランチだった」

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[5.4 J3第10節 町田4-1秋田 町田]

 オーラが違う。FC町田ゼルビアの前線に君臨するのは、ここまで8得点を挙げて得点王レースをリードする、チーム在籍3年目を迎えた24歳のFW鈴木孝司だ。この試合でも後半33分にPKでチーム4点目、自身今季9点目を決めたように、もちろんフィニッシャーとしての役割を果たしているが、組み立ての部分での貢献度も高い。

 チームメイトからクサビのパスを引き出すと、相手DFに寄せられてもビクともしない。3人に囲まれようとも、ものともせずにボールキープし、味方の攻め上がりを促して攻撃のリズムを生んだ。「クサビのパスは相手が来ていない方向に出してもらえるようにコミュニケーションを取っています。相手から一番遠い位置にボールを置いていれば、簡単にはボールも取られません」。そう語ったように、ボールを置く位置と体の使い方が絶妙。ボールを奪われる場面はほとんどなかった。

 足下の技術にも長けるストライカーだが、このような選手になったのには背景がある。「僕がFWになったのは法政大の4年からです。それまではずっとボランチでプレーしていたのでボールの扱いには多少は自信がありますし、相手やボールの位置を考えながらプレーするのが好きなんです。小さい頃から体の使い方も考えていたので、そういう面が今は生きているのかなと感じます」。本格的にFWになって4年目だが、今まで経験してきたことは無駄ではない。そうピッチ上で表現している。

 卓越したボールキープからチームメイトの動きを見逃さずに決定的なパスも供給したが、ここにもこだわりがある。「自分でボールを持っているだけでは何も起こりません。周りで動いてくれる選手を使った方がチームの勝利にも近付くと思うし、僕は周囲に生かされて生きるタイプなので、周囲を生かさないと僕自身も生きてきません」。ここまで得点を重ねているのも「自分一人では点を取れないので、良いパスを出してくれるチームメイトに感謝しています」と謙虚な姿勢を貫いた。

 一人では得点できないかもしれない。しかし、ゴールへのこだわりは強い。「もちろんFWなのでゴールにこだわっているし、結果がついてきていることで自信にもなっています」。そして得点を量産しているが、納得のいかない部分もある。「1試合に4点とか(第8節琉球戦)でなく、1試合に1点ずつ取ってチームに貢献したい気持ちが強いし、今日のようにチームの4点目というのもうれしいですが、欲を言えば拮抗している試合でチームを助けるゴールを多く決めたいですね」。

 10戦無敗と好調なスタートを切ったチームをけん引するストライカーは、最後に今後への意気込みを語った。「J2昇格がチームの目標なので、チームが勝つことを目標にやっていきます。ただ、それが自分の得点で勝てたらうれしいし、そうやって貢献していくことで得点王というタイトルもついてくると思う。だから、まずはチームの勝利のために走って、戦う。それだけです」。自身のゴールがJ2昇格につながることを信じ、背番号9はこれからもチームの勝利のためにゴールを重ね続ける。

(取材・文 折戸岳彦)

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