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かつてのホーム・味スタで初対戦の大熊監督、劇的勝利に「チームで取った勝ち点3」

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[5.6 J1第12節 F東京0-1大宮 味スタ]

 試合前のアウェーチームの選手紹介。通常ならばブーイングをもって迎えられるが、FC東京を古巣とする2人は、味の素スタジアムが拍手で包まれた。

 1人は、大宮アルディージャの左サイドバックでスタメン出場したDF中村北斗だ。09年から昨シーズンまで5年間F東京でプレー。試合前に「中村北斗」の名前がアナウンスされると、F東京サポーターからは「北斗コール」が起こった。試合終了後にはF東京サポーターに挨拶に向かったという。「『5年間ありがとうございました』というイメージで。雰囲気悪かったので(笑)、いつ行こうかなと思ったけど、みんなが挨拶した後に行きました」。試合終了の笛が鳴ると、3連敗のチームに対してF東京サポーターからは容赦ないブーイングが飛んだが、挨拶を済ませたという。

 もう1人は、現在は大宮の監督を務める大熊清。99年にプロクラブとなったF東京の初代監督であり、10年のJ2降格、11年のJ1昇格&天皇制覇など、同クラブの節目でも指揮官を務めていた。「大熊清」の名前が試合前にアナウンスされると、中村以上の万雷の拍手が起こった。

 敵将として初めて臨んだ味の素スタジアムでのF東京戦。試合後の会見で記者から古巣への想いを問われると「正直、自分にいまは余裕がなくて、(大宮の)ファンの方に勝ち点3を報告できるかどうかということだけ」と返したが、DF森重真人、MF高橋秀人、FW平山相太ら、かつて率いた選手たちへの想いを付け加えた。「教えた選手もいる分、どうにかいい試合をして、こっちも頑張っているのを伝えたかった」。

 後半アディショナルタイムの決勝点で、古巣から勝利した大熊監督。「チームで取った勝ち点3」。課題とされていた守備も無失点で乗り切り、8試合ぶりの勝ち点3に安堵の表情を覗かせた。

(取材・文 奥山典幸)

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