[5.6 J1第12節 甲府0-0浦和 国立]

　耐えに耐えた。首位浦和レッズと対戦したヴァンフォーレ甲府は、まず失点しないことを第一に考えた。浦和の1トップ+2シャドーは3CBがきっちりと見張り、両アウトサイドも最終ラインまで戻って5バックとなりスペースを消す。守備ブロックの外では浦和にテンポ良くボールを回されようが焦らず、ブロック内への侵入者には必ず誰かが体を寄せて自由を奪った。

　いくらゴールを許さなくても、左右に揺さ振られれば自然と体力は消耗していくが、そこは頭を使って体力の消耗を最小限に抑えていたとDF青山直晃は語っている。「浦和は強引にゴールを狙いに来るプレースタイルではないので、絶対にボールが出てこないと感じたところで一息つきながら守備をしていました。だから最後まで集中力を保てたと思います」。

　90分間集中力を切らさない粘り強い守備で浦和を完封したが、攻撃面での見せ場は少なくスコアレスドローに終わっている。しかしDF佐々木翔は押し込まれる時間帯が長くなった試合の中でも、攻撃面で新たな試みに挑んでいたと話す。「守備に回ってもクリス(FWクリスティアーノをあまり引かさずにちょっと高い位置で守備をさせるイメージでやっていました。ボールを奪った瞬間にクリスがボールを受ける場面もあったので、そこから厚みのある攻撃を仕掛けられたらと思っていた」。

　だが、思ったように前線でボールが収まらず、敵陣深くまでボールを運ぶ場面は限られてしまう。「クリスにボールを預けた選手がサポートにつくのか、それともそれ以外の選手がサポートに行くのかをチームとしても準備していかないといけない」と佐々木は今後の課題を口にした。

　ここまで2試合連続の完封負けで、この試合も得点は生まれなかったが、「相手のストロングポイントを消しながら、ゼロで終われたのは良かった。守備のベースがしっかりとできていると感じられますからね」と守備への手応えを語った佐々木は、3試合ぶりの勝ち点獲得はチームにとっても自信になると続けた。「もちろん勝てれば文句ありませんが、負けが続くのも良くないので、勝ち点1を奪えたのは大事。ここから攻撃面の上積みができればいいし、前向きに戦っていきたい」。ゴールを守ることには十分な手応えを得た。今後はゴールを奪う力を伸ばし、勝ち点3獲得を狙う。

(取材・文　折戸岳彦)

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