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[AFCフットサル選手権2014]ミゲル監督「北原、村上、冨金原に優勝を捧げたい」

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[5.10 AFCフットサル選手権2014決勝 日本代表2-2(PK3-0)イラン代表 ホーチミン]

 AFCフットサル選手権は10日に決勝を行い、日本代表がPK戦の末にイラン代表を3-0で下し、初の大会2連覇を達成した。試合後、ミゲル・ロドリゴ監督は「この優勝は、北原選手、村上選手、冨金原選手、その3選手に捧げたい」と苦渋の決断の末に、今大会のメンバーから外した3選手の名前を挙げた。また、選手たちには映画ロッキー4のように戦おうと話していたことも明かしている。

以下、ミゲル監督コメント

―ミゲルマジックが、またさく裂しましたね。
「北原選手、村上選手、冨金原選手。その3人に、この優勝を捧げたい。彼らは、ここに来てプレーをした選手たちと同じように、このタイトルに値する選手たちだと思っています。今回連れてくることをしなかった決断は重いモノでしたが、そこは触れておきたいと思いました」

―大会前に『彼らを外しても勝てる』と言って、本当に勝ちました。それがマジックの一つ目です。
「構築のプロセスにあることは間違いありません。ただ、最初から話していたように個々のタレントは前の世代よりも高いものがあると確信していました。少しプロセスが、熟成が早いような形で結果がでましたが、1年ちょっとの時期で成熟が思っていたよりずいぶん進んだと思います。それは、ここに集まった選手たちのポテンシャルが、自分が想像していたものを上回っていたことですね」

―2つ目のマジックは、GK関口ですね。
「今回、こういうタイミング出たことはありますが、彼は1stGKで出る力を持っています。ただ、決勝の舞台が来るのを待っていた感覚でいた部分があります。アジアインドアゲームス、スペイン遠征2回、ブラジルでのグランプリ・デ・フットサルを経験して、彼はずっとその中で高いレベルを焼き付けていたので、サプライズではありません」

―今回のGK関口の起用も第6感ですか?
「小森コーチと2人です。絶対に出たら最高のパフォーマンスをしてくれると、確信していたんです」

―ここまでイランに見せないように隠していた?
「アジアインドアゲームスやグランプリで対戦して、バレていたので、それは違いますよ。賭けみたいなところはありました。勝ったり、負けたりするかもしれませんが、そういう決断をするのは好きです」

―今日の試合を分けたポイントは何だと思いますか?
「向こうのパンチにひたすら耐えたことです。前半は特に耐えました。向こうはシュート数で上回っていましたし、そこを向こうが打ち疲れるのを待つくらいの気持ちで戦わないといけないくらいの展開でした。疲れが明らかになったのは、後半残り4分くらいの時間帯。あそこでゴールを決めていれば、試合を終わらせていたかもしれません。第2PKもありましたし。延長では仁部屋のチャンスもありました。そういう流れがありますが、流れの中でも大きな文脈で捉えたら、耐えて、耐えて、耐えて、打ち疲れたところをガッと入る。なぜかというと、イランはこういうゲームを体験していないんですね。楽勝で勝ち進んできたときというのは、強烈なパンチをガンガン打っているのに、日本が倒れないと自問自答が始まります。そして、怖がり始めます。そこでうちは打ち返すタイミングが来ます。選手たちには、ロッキー4の話をしたんです」

―ロッキー4ですか?
「ロッキー4には、ロシアの国産ボクサーがいるんですよ。科学の結晶のような強大なボクサーと対戦して、そいつはガンガンやってくるのですが、ロッキーは倒れない。倒れてもすぐ立つ。で、相手が疲れて来て『なんだ、このアメリカ人は』となり、最終的には打ち返すんです。そのシナリオをみんなに伝えて、そこから何人かは見たはずですよ。今日も試合前に『耐えるぞ!』と伝えました。その我慢と打ち返しができたゲームでしたね」

―それだけ守備が耐えられたのは、なぜでしょうか。
「やっぱり戦術的には昨日も、今日も、すごく綿密に向こうのやり方をスカウティングして確認をしました。向こうのストロングポイント、こっちのストロングポイントを確認して、向こうが得意なサイドの1対1になったら、こっちはボックス型になり、サポートをしやすいようにして、横パスをケアするようにしました。そしてピヴォに対しては、逆からサポートに入る。この戦術的な調整が、うまくいきました」

―そこがマジックだったわけですね。
「これが一番かもしれませんね。うまくいきました」

―次は3連覇が目標になります。
「そうなりますね。W杯の予選でもあります。次の目標は、まずW杯予選を突破することです。今回の様子だと、他の国もまたレベルを上げてきます。今回は苦しいゲームをやって、ここまで辿り着きました。前回はそこまでではありませんでした。力の差がしっかりあった状態で、苦しいと言えば苦しかったですが、しっかり力の差はありました。次はW杯の年の試合なので、予選をしっかり突破して、その後にタイトルを持ってきます」

(取材・文 河合拓)

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